レビュー著者: 漫画よしあし
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坂道のアポロン の感想と評価(良いところ、悪いところ)
坂道のアポロン
著者: 小玉ユキ
連載: 月刊flowers
評価: 8.8/10
あらすじ
1966年初夏、横須賀から長崎県・佐世保の高校へ転入した西見薫。ガリ勉で周囲と壁を作っていた彼だったが、札付きのワルと恐れられる川渕千太郎、そして心優しいクラスメイト・律子との出会いが運命を大きく変える。千太郎が叩くドラムに魅せられた薫は、ジャズを通して彼と魂の友情を育んでいく。不器用な若者たちの瑞々しい成長と、甘酸っぱくも切ない多角関係の恋模様。1960年代の情緒溢れる空気感の中で、情熱的なセッションが響き渡る。小玉ユキが圧倒的な筆致で描き出す、音楽と友情、そして一生ものの愛が詰まった青春群像劇の傑作!
良い所
- 1960年代の佐世保の空気が本当に美しく描かれていて、読むだけでタイムスリップしたような気分になれました。薫と千太郎がジャズで通じ合うシーンの熱量が凄まじく、漫画から音が聴こえてくるようで感動しました。
- ジャズのセッションシーンは鳥肌モノのカッコよさです!不器用な薫と豪快な千太郎、正反対な二人の間に芽生える特別な絆に何度も胸が熱くなりました。これこそ「一生ものの名作」と呼べる素晴らしい青春漫画です。
- 繊細で透明感のある絵柄が物語の切なさを引き立てていて、ページをめくる手が止まりませんでした。薫たちの恋模様にもキュンとさせられ、不器用ながらも真っ直ぐな彼らの成長を見守るのが本当に幸せな時間でした。
- 最終回と番外編を読み終えた後の、あの爽やかで少し切ない読後感が忘れられません。友情、恋愛、そして音楽。青春のすべてがこの10巻にギュッと詰まっていて、何度読み返しても新しい感動をもらえる大好きな作品です。
- キャラクター一人ひとりが血の通った人間として描かれていて、感情移入が止まりませんでした。千太郎の力強いドラムの音に救われる薫の姿を見て、私自身も明日を生きる勇気をもらえたような気がする最高の読書体験でした。
悪い所
- 薫、千太郎、律子の三角関係が「全員が別の人を好き」という状態でずっと進むので、読んでいてかなり焦れったく感じてしまいました。すれ違いの連続にヤキモキしてしまい、恋愛パートでは少しストレスが溜まりました。
- 主人公の薫が繊細すぎて、プレッシャーで吐き気をもよおすシーンなどが序盤に多く、彼のネガティブな性格に最初は馴染めませんでした。もっと明るく前向きなキャラクターだったら、より素直に楽しめたのになと感じます。
- 物語の終盤で急に数年単位の時間経過があり、展開が少し唐突に感じられて戸惑ってしまいました。高校時代の彼らのやり取りをもっと長く、じっくり見ていたかったので、少し物足りなさと不完全燃焼感がありました。
- 1960年代という時代背景が反映されているせいか、登場人物の価値観や行動に現代の感覚からすると少し古臭さを感じてしまう瞬間がありました。特に女性の立ち位置などが気になってしまい、純粋に物語に没入できませんでした。
- ジャズに全く興味がない私には、演奏シーンの凄さが十分に理解できず、少し置いてけぼり感がありました。音楽の専門的な話も時々出てくるので、知識がないと100%楽しむのは難しい作品なのかなと感じてしまいました。




