レビュー著者: 漫画よしあし
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砂ぼうず の感想と評価(良いところ、悪いところ)
良い所
- 「金と女のためなら仲間も裏切る」という、救いようのない卑劣な主人公に逆に清々しさを感じました!正義感ゼロ、でもサバイバル能力だけは超一流という砂ぼうずの泥臭い戦い方に、妙なリアリティがあって痺れます。
- うすね正俊先生の描く、緻密すぎる重火器やメカの描写が圧巻です。砂漠という過酷な環境での装備の消耗や改造のディテールが凄まじく、ミリタリー好きなら間違いなく画面に釘付けになる圧倒的な画力です。
- 文明崩壊後の「弱肉強食」を地で行く、殺伐とした世界観の作り込みが見事です。綺麗な言葉では生き残れない砂漠の残酷さと、その中で必死に、かつ醜く足掻く人間たちのドラマに、本能的な面白さを感じました。
- 初期のコミカルな便利屋稼業から、中盤以降の軍事・政治色が強まる展開へのシフトが鮮やかで驚きました。単なるアクション漫画に留まらず、社会の再構築や権力闘争といった重厚なテーマにまで踏み込む深さがあります。
- 「勝てば官軍、負ければゴミ」という徹底したドライな価値観が全編を貫いていて、甘えのないサバイバル劇として非常に完成度が高いです。砂ぼうずのゲスな笑いと、その裏にある冷徹な計算高さのギャップが堪りません。
悪い所
- 主人公の砂ぼうずがあまりに卑怯でゲスすぎるため、感情移入できるキャラが一人もいない時期があり、読んでいてかなりストレスを感じることがありました。ダークヒーローどころかただの「悪党」なのが難点です。
- 絵柄に非常に強いクセがあり、書き込みも多すぎるため、何が起きているのか一瞬で把握しづらいコマがありました。独特の不気味さや迫力は凄いのですが、さらっと読みたい人には少し画面が重すぎるかも。
- 中盤以降、物語がシリアスになりすぎて初期のバカバカしいノリが失われてしまったのが少し寂しかったです。軍事的な話が長引くと、砂ぼうず個人のゲスな活躍をもっと見たかったな、と不満を感じることも。
- 女性キャラクターへの扱いが、かなり露骨で品がない描写が多いです。当時の青年誌のノリとはいえ、今の感覚で見ると不快に感じる人がいてもおかしくない、かなり偏った性的描写が多用されています。
- 完結までの道のりが非常に長く、ラストの展開についても読者の間でかなり評価が分かれるところだと思います。自分としてはもう少し砂ぼうずらしい「勝ち逃げ」を見たかったのですが、少し後味の悪い着地点でした。





