レビュー著者: 漫画よしあし
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NANA―ナナ― の感想と評価(良いところ、悪いところ)
良い所
- ハチの危うい依存心と、ナナの孤高の強さ。自分の中にもある「弱さ」と「憧れ」が二人のナナに投影されていて、読むたびに魂が激しく揺さぶられます。こんなにもリアルに、人間の泥臭い愛を描いた漫画は他にありません。
- 矢沢あい先生の圧倒的にスタイリッシュな世界観とファッションに、思わずため息が出ました。ヴィヴィアンのリングやバンドの空気感など、憧れの東京がこの一冊にすべて詰まっていて、今読んでも全く色褪せない輝きがあります。
- 「レンとの狂おしいほどの愛」や、タクミとの打算的な関係。少女漫画の枠を超えた、あまりにシビアでヒリヒリする人間関係の描写に、何度も呼吸を忘れるほどの衝撃を受けました。愛することは、こんなにも苦しいのかと。
- ハチとナナの、恋人以上の、しかし恋人ではない奇跡のような絆に、何度も涙が止まりませんでした。お互いを必要としながらも、傷つけ合わずにはいられない不器用な二人に、どうか幸せになってほしいと祈らずにいられません。
- 名言の宝庫とも言える繊細なセリフ回しが、心の一番深いところに刺さって抜けません。ナナの独白の一つ一つが、自分の人生の一部になったかのような、強烈な没入感とカタルシスを味あわせてくれる稀有な傑作です。
悪い所
- 物語が進むにつれて展開が非常にシビアで重苦しくなるため、精神的に落ち込んでいる時に読むと、本気で「鬱」に近いダメージを受ける可能性があります。娯楽として楽しむには、あまりに痛みが強すぎる作品です。
- 主要キャラクターたちが皆、何かしらの致命的な欠点や依存心を抱えているため、彼らの身勝手な行動にどうしても納得がいかず、嫌悪感を抱いてしまう瞬間がありました。共感できないと、ただの泥沼劇に見えてしまうかも。
- 作者の急病による長期休載が続いており、物語が未完のまま止まっているのが、ファンとしてはあまりにも、あまりにも辛いです。この結末を見届けられないかもしれないという不安が、読み返すのを躊躇させてしまいます。
- タクミというキャラクターの支配的な言動に、現代の価値観から見ると強い恐怖や不快感を抱いてしまう場面がありました。時代の空気感とはいえ、女性の扱いが酷すぎて、読んでいて腹立たしさが勝ってしまうことも。
- 人間関係が非常に複雑でドロドロしているため、ピュアな恋愛物語を求めている人には絶対におすすめできません。誰と誰が繋がっていて、誰が裏切ったか、という相関図の重さに、途中で胸が焼けるような感覚になります。





