レビュー著者: 漫画よしあし
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ハチミツとクローバー の感想と評価(良いところ、悪いところ)
良い所
- 「全員片想い」という設定が切なすぎて、登場人物たちの届かない想いに、自分の青春時代の記憶が重なって何度も号泣しました。羽海野先生の綴る、心臓の奥を優しく撫でるようなモノローグの一つ一つが宝物です。
- 美大という特殊な場所で、「才能」という巨大な壁にぶつかりながら自分を探す竹本くんの姿に、今の自分自身が重なって勇気をもらえました。何者にもなれない焦りと、それでも進む強さに、魂が震えるほどの共感を感じます。
- 真山、山田、理花さんの、終わらない、しかし終わらせなければならない片想い。あの雨の中のシーンや、自転車で走り出す瞬間の描写の美しさは、漫画の歴史に残る名シーンだと言っても過言ではありません。
- ギャグパートのバカバカしさと、シリアスパートの切なさのバランスが神がかっています!ローマイヤー先輩のネタで笑った直後に、はぐちゃんの孤独に涙する。感情がこれほどまでに揺さぶられる漫画は他にありません。
- 全10巻を通して、「幸せになってほしい」と願うことの尊さを教えてもらいました。最終回の、あのパンの耳のシーン。あれほどまでに静かで、美しく、希望に満ちたラストシーンに、人生のすべてが救われた気がしました。
悪い所
- 青春のキラキラした部分だけでなく、才能への劣等感や孤独、将来への不安などの「苦しさ」が物語の底に常に流れているため、人によっては読んでいて非常に疲れてしまう可能性があります。かなり精神力を削られる作品です。
- 登場人物たちが皆、どこか極端な才能や価値観を持っているため、一般人の感覚からすると、彼らの行動や悩みが少し現実離れしていて、完全に共感しきれない場面があるかもしれません。少し「選ばれた人たち」の世界です。
- 恋愛模様が終始もどかしく、はっきりとした決着がつかないまま終わってしまう関係も多いため、王道のハッピーエンドや両想いのカタルシスを求めている人には、かなりの消化不良感を与えてしまう可能性があります。
- 羽海野先生特有の、情報量が多くてポエムチックなモノローグが、苦手な人には少し鼻につくというか、過剰に演出されているように感じてしまうかも。静かに物語を追いたい人には、少し言葉が多すぎると映るかもしれません。
- 物語の後半、はぐちゃんに起きた出来事の展開が、あまりに過酷すぎて受け入れがたいと感じる時期がありました。青春群像劇の枠を超えて、人生の試練が重すぎて、読んでいて息が詰まるような苦しさを味わうことも。




