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最終更新日:

銀の匙 Silver Spoon の感想と評価(良いところ、悪いところ)

銀の匙 Silver Spoon

銀の匙 Silver Spoon

著者: 荒川弘

連載: 週刊少年サンデー

ジャンル: 日常青春農業学園

評価: 9.1/10

あらすじ

札幌の進学校で競争に敗れ、逃げるように広大な大蝦夷農業高校(エゾノー)へ入学した八軒勇吾。家畜の世話や泥まみれの実習に戸惑いながらも、彼は「命を食べて生きる」ことの厳しさと尊さを学んでいく。荒川弘が自らの経験を元に描く、汗と涙と土にまみれた、全く新しい酪農青春グラフィティ!

良い所

  • 「いただきます」という言葉の裏にある、家畜を育てて殺して食べるという現実を、これほどまでに誠実に、かつユーモラスに描いた作品はありません。豚丼のエピソードには、食べることの罪悪感と感謝で号泣しました。
  • 劣等感に押しつぶされそうだった八軒が、自分を必要としてくれる居場所を見つけていく過程に、自分自身の人生を重ねて深く感動しました。何者でもない自分でも、ここでなら何かできるかもしれないという勇気をもらえます。
  • 荒川先生の実体験に基づいた圧倒的なリアリティが凄まじいです。北海道の冬の厳しさや、酪農農家の経済的な苦境など、キラキラした夢だけではない農業の「今」を知ることができて、一気に視野が広がりました。
  • 八軒の周りに集まる個性豊かな仲間たちとの絆が本当に最高です。夢を持つ者も持たない者も、共に汗を流し、美味しいものを食べる。そんな当たり前の日常がどれほど尊いか、彼らの笑顔に何度も教わりました。
  • 最終巻に向けて、八軒が自分の意志で新しい挑戦へと一歩踏み出す結末に、親戚のような気持ちで胸が熱くなりました。進路に悩むすべての学生、そして仕事に疲れた大人にこそ読んでほしい、最高の人生のバイブルです。

悪い所

  • 酪農の現実を隠さず描いている分、屠殺や家畜の病気などの描写がかなりショッキングに感じられる場面がありました。覚悟して読みましたが、それでもしばらく肉を食べるのが辛くなるほどの、重い読後感がある回も。
  • 物語の後半、作者の家庭事情による不定期連載や休載が続いた時期があり、リアルタイムで追っていた身としては少し物語の熱量が途切れてしまうのが残念でした。今は完結しているので、一気読みが絶対におすすめです。
  • 農業高校という特殊な舞台なだけに、専門的な用語や解説がかなり多く、人によっては少し説明臭く感じてしまう回があるかもしれません。興味が持てないと、ただの実習記録のように見えてしまう可能性も。
  • 八軒の父親との確執のエピソードがかなり重苦しく、読んでいて息が詰まるような感覚になりました。最終的には解決へ向かいますが、そこに至るまでの家族の冷え切った空気感は、青春漫画としてはかなりハードでした。
  • 最終回で、主要キャラクターたちの将来についてもっと詳細に描いてほしかった部分がありました。あえて余韻を残す形なのは分かりますが、個人的には全員の数年後の姿をもっとじっくり見届けたかったなと思います。

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