レビュー著者: 漫画よしあし
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東京カンナビス特区 大麻王と呼ばれた男 の感想と評価(良いところ、悪いところ)
東京カンナビス特区 大麻王と呼ばれた男
著者: 稲井雄人
連載: 月刊コミックゼノン
評価: 8.4/10
あらすじ
花屋を営む41歳の千東森生は、妻と高校生の娘との3人暮らし。経営は苦しく、妻のパート収入でなんとか生計を立てていた。そんな折、大学の同窓会で再会したかつての親友・加賀山から、ある高額な報酬の仕事を提案される。それは、違法植物である「大麻」の栽培だった。家族の生活を守るため、そして男としての矜持を取り戻すため、森生は危険な裏社会へと足を踏み入れていく。彼に備わっていた植物栽培の天賦の才「緑の指」は、皮肉にも最高品質の大麻を生み出してしまい、事態は後戻りできない泥沼へと転がり落ちていく。善良な市民が犯罪に手を染め、狂気と欲望が渦巻く裏社会で「大麻王」へと変貌していく姿を描いた、衝撃のクライム・サスペンス!
良い所
- 貧困や社会の歪みから、家族を守るために善良な花屋のおじさんが大麻栽培という犯罪に手を染めていく過程がリアルで、実写ドラマ化できそうなほどよく練られたストーリーに一気に引き込まれました。
- 主人公が自覚なく持っている植物栽培の才能「緑の指」によって、皮肉にも最高品質の大麻を作り出してしまう展開が面白すぎます。マトリや半グレ組織との息詰まる駆け引きにハラハラしっぱなしです!
- 大麻の流通ルートや裏社会の仕組みが非常に詳細に描かれており、日本のダークサイドを覗き見ているような緊迫感がたまりません。エンタメとして圧倒的な読み応えを誇る傑作サスペンスだと思います。
- 最初はためらいながらも、次第に栽培への探求心や「大麻王」としての自覚に目覚め、後戻りできない裏社会の泥沼にハマっていく主人公の心理描写が秀逸で、恐ろしくも目が離せなくなります。
- 花屋としてのプライドや、家族の大黒柱でありたいという切実な思いが痛いほど伝わってきます。彼がこの先どうなってしまうのか、続きが気になってページをめくる手が止まらなくなる中毒性があります。
悪い所
- 家族のためと言いながら、結果的に犯罪に手を染めて家族を一番の危険に晒している主人公の考え方にどうしても共感できません。胸糞悪い展開も多く、読んでいてイライラしてしまいました。
- 大麻栽培や裏社会の暴力、薬物中毒者の生々しい描写が含まれるため、アンモラルなテーマや痛々しい展開が苦手な私には精神的にかなりキツかったです。人を選ぶハードな作品だと思います。
- 作中で大麻ユーザーによる「大麻擁護論」のようなセリフが語られる場面があり、そういった倫理的に際どいテーマの扱いに抵抗や違和感を覚える瞬間がありました。少し不快に感じてしまいます。
- 最初は葛藤していた主人公が、段々と悪に染まっていく姿を見るのがしんどいです。明るい要素や救いのある展開が少なく、読んだ後にどんよりとした暗い気持ちになってしまうのが残念です。
- ストーリーの展開が少し遅く、大麻を育ててトラブルに巻き込まれて…という似たようなパターンの繰り返しに感じる時期がありました。もう少しテンポ良く話が進んでほしいなと感じます。




