レビュー著者: 漫画よしあし
最終更新日:
ヨコハマ買い出し紀行 の感想と評価(良いところ、悪いところ)
ヨコハマ買い出し紀行
著者: 芦奈野ひとし
連載: 月刊アフタヌーン
評価: 9.1/10
あらすじ
海面上昇により文明が衰退し、人々がお祭りのような賑やかさを終えて穏やかに暮らす「夕凪の時代」。三浦半島で喫茶店「カフェ・アルファ」を営むロボットのアルファは、いつか帰ってくるオーナーを待ちながら、オートバイで買い出しに出かけたり、近所の人々と触れ合ったりして日々を過ごす。芦奈野ひとしが圧倒的な情緒で描き出す、優しくも切ない終末世界の日常。言葉を極限まで削ぎ落とし、風の音や光の移ろいを丁寧に活写する詩的な筆致は、読む者の心を深い静寂へと誘う。変わりゆく世界と変わらないアルファの日常を通して、生の尊さを静かに問いかける癒やし系SFの金字塔!
良い所
- 「てろてろした時間」という言葉がぴったりな、ゆったりとした空気感が最高に心地よいです。読むだけで日々の喧騒を忘れ、心が洗われるような静かな感動に包まれます。私にとって世界で一番優しい漫画です。
- 文明が滅びつつあるのに、悲壮感が全くなく「穏やかな黄昏時」として描かれる世界観が本当に美しい。風の音や波のざわめきがページから伝わってくるような情緒溢れる描写に、何度も深くため息をつきました。
- 年をとらないロボットのアルファさんと、成長していく周囲の人々との対比が切なくて愛おしいです。一期一会の出会いと別れを静かに受け入れていく彼女の姿に、生きることの本当の美しさを教えてもらいました。
- 言葉が少ないからこそ、絵が饒舌に語りかけてくる素晴らしい表現力に圧倒されました。何気ない買い出しの道中やコーヒーを淹れるシーンがこれほどまでにドラマチックに響くなんて、作者は真の天才だと思います。
- 最終回を読み終えた後の、あの温かくて少し寂しい余韻が忘れられません。世界は終わっていくけれど、そこには確かな幸せがある。人生の節目で何度も読み返したくなる、私にとってかけがえのない宝物です。
悪い所
- 物語の大きな起伏やドラマチックな事件がほとんど起きない日常モノなので、私には少し退屈に感じられてしまいました。何も考えずに読むには良いですが、刺激的なストーリーを求めている人には不向きな作品です。
- 世界がなぜ衰退したのか、オーナーは何者なのかといった物語の核心部分の謎が最後まで明かされないのがモヤモヤしました。設定の完結性を求める私には、投げっぱなしのように感じて少し不完全燃焼でした。
- 長期連載のため、最初の1〜2巻あたりの絵がかなり荒削りで、最近の洗練された綺麗な作画に慣れていると少し違和感を覚えてしまいました。絵が安定してくるまで読み進めるのに少し時間がかかって疲れました。
- あまりにも美しく静かに人類が終わっていく様子を描いているので、癒やされる反面、どうしようもない喪失感に襲われて辛くなる時がありました。メンタルが弱っている時に読むと、寂しさに飲み込まれそうになります。
- 独特の間や情緒を重んじる作風のため、サクサクと展開を追いたい私にはテンポが遅すぎて合わなかったです。雰囲気漫画としては一流なのでしょうが、エンタメとしての爽快感を期待すると肩透かしを食らいます。
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