レビュー著者: 漫画よしあし
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デッドマン・ワンダーランド の感想と評価(良いところ、悪いところ)
良い所
- 血を使えば使うほど自分が削られる「罪の枝」の設計が秀逸で、勝利に常にリスクが伴うバトルの緊張感がたまりません。「この一撃でガンタがどれだけ消耗するか」という計算が戦闘を知的にしています。
- デッドマンたちの個別の過去が明かされるシーンで、戦闘相手だったはずの人間が急に立体的に見えてくる感覚がすごく好きです。序盤では憎んでいたキャラに感情移入させてくるのが巧みでした。
- 脱げられない閉鎖空間の絶望感と、それでも抗おうとするガンタの姿の対比が、作品全体の大きな推進力になっています。あの刑務所の息苦しさを画面から感じられる世界観の作り込みが好きです。
- 血が飛び散るバトルシーンの暗く凄惨な迫力は少年漫画とは一線を画した独特の美しさがあって、一度ハマるとクセになります。近藤先生の作画がこの作品の持つ「歪んだ祝祭感」を完璧に表現しています。
- 「赤い男」の正体という大きな謎が物語を最後まで牽引し続け、冤罪の真相に近づくたびに読む手が止まらなくなります。序盤から張られた伏線の密度の高さが、一気読みを引き起こす仕掛けになっています。
悪い所
- 身体欠損や人体実験など凄惨な描写が容赦ないため、耐性がないと正直きつく、万人に勧められる内容ではありません。グロテスクなビジュアルが作品の個性である反面、人を選ぶ最大の壁でもあります。
- 序盤のガンタが感情任せに叫んで突っ走るばかりで、頭を使って状況を打開してほしいともどかしさを感じました。理不尽な状況は分かりますが、主人公として少し頼りなく映ってしまいます。
- 救いのない鬱展開が連続するので、読んでいて心が擦り減っていく感覚があります。エンタメとして楽しむというより「耐える」に近い読書体験で、精神的なコンディションを選ぶ作品です。
- 終盤の謎の回収が急足すぎて、「赤い男」の目的や組織の全貌など大きな伏線が丁寧に回収されきれていない印象を受けました。あれだけ丁寧に積み上げた謎だっただけに、惜しくてなりません。
- 序盤にあった「カーニバル・コープス」という見世物設定の背徳感が途中からほぼ消えてしまい、初期の独特な祝祭的雰囲気が戻ってこなかったのが個人的に一番残念なところでした。




