ダンジョン飯 の感想と評価(良いところ、悪いところ)
ダンジョン飯
マークダウンで表示著者: 九井諒子
連載: ハルタ
評価: 9.7/10
あらすじ
迷宮を攻略せよ、美味しく食べながら!九井諒子が緻密な世界設定と溢れるユーモアで描き出す、空前絶後のファンタジー・グルメ・アドベンチャー。ドラゴンに飲み込まれた妹を救うため、ライオス一行は金も食料も尽きた極限状態で迷宮の深層を目指す。そこで彼らが下した決断は――モンスターを狩って食べること!歩き茸、スライム、そしてレッドドラゴンまで。生態系への深い理解に基づいた驚きの調理法と、極限状態で生まれる仲間との絆。モンスターの習性を活かした独創的なレシピと、料理を通じて深まる仲間の信頼が絡み合い、食とは生の特権であることを思い知らせてくれる。読めばお腹も心も満たされる傑作が堂々完結!
本音のガチ長文レビュー(ネタバレ有)
全巻読んでの感想です。 アニメは見ていません。 全体としてはとても面白かったです。 ファンタジー漫画でグルメ漫画をやったらどうなるか、という発想一本で押し切った作品で、 ちょっとズレた切り口のオモシロ漫画を読みたい気分のときにすごくハマりました。 物語としては、ダンジョンに飲み込まれた妹を救出するため、迷宮の魔物を食べながら攻略を進める骨太ファンタジー。 序盤はとても面白い。 異世界転生的な便利設定で都合よくサバイバルする話ではなく、 骨太なファンタジー世界観の中で、ひたすらくだらない料理の話が続いていく。 迷宮探索の冒険感もしっかりあって、奥に進むほど世界が広がっていく感覚が楽しい。 ファンタジーと魔物食という観点が、毎回うまく噛み合っているのがとにかく良い。 スライムやマンドラゴラ、大サソリといった定番のモンスターを、 どう調理して何の料理に仕立てるのか、 予想がつくようなつかないような絶妙な塩梅で出してくる。 このバランスが癖になって、次は何を食べるんだろうという期待でページをめくってしまう。 ライオスたちパーティーのやり取りもくだらなくて良い。 飯を作って食って、また進む、というシンプルな繰り返しなのに飽きないのは、 キャラ同士の温度差がちゃんと描けているからだと思う。 中盤から終盤手前は、正直なところ微妙だった。 ダンジョン感も飯感もだんだん薄くなっていって、 迷宮の謎、狂乱の魔術師まわりのシリアスな話に比重が移っていく。 ここで読みたいのはダンジョン飯らしい話なのに、と何度か思った。 最終盤への布石として必要なパートだったというのは読み終わってから理解できる。 ただ、読んでいる最中はどうしてもダラダラした印象を受けてしまう。 この辺りで脱落する人がいるのもわかる気がする。 飯漫画のつもりで読み始めた読者にとっては、 急に重たい話を聞かされている感覚になりやすい区間です。 最終盤は文句なしに面白い。 魔物を食べるという作品の根幹にきっちり立ち返って、物語が一気に動き出す。 中盤で散らかしたように見えた要素もちゃんと収束していって、 最後は奇をてらわず、すっきりと着地してくれた。 エピローグをもっと読みたい、と思うくらい世界観に引き込まれていた。 迷宮を抜けた後の彼らの生活がどうなったのか、 あと数話分でいいから腰を据えて見せてほしかったというのが正直な気持ち。 料理については、正直おいしそうとは思わない。 スライムを煮込んだスープも、巨大蝙蝠の丸焼きも、見た目で食欲をそそられることはない。 でも、手間暇をかけて何かを作っている印象だけは強烈に残る。 読み終わった後、なぜか手の込んだ料理が食べたくなった。 作中のメニューを食べたいとは全く思わないのに、 料理という行為そのものへの興味が湧いてくる感覚は不思議で、 これはこの作品ならではの読後感だと思う。 パーティーのメンバーは全員よかった。 誰か1人が突出して目立つわけではなく、 それぞれに適度にエピソードが配分されているバランスの良さがある。 イヅツミは個人的にいなくてもよかったかな、というのが本音。 パーティーの誰かが大きく成長していくタイプの話ではなく、 似たようなくだりを繰り返している、という見方もできてしまう作品ではある。 でも、その繰り返しを楽しむのがこの作品の醍醐味だと思っているので、 そこはマイナスというより、味わいのほうに入る。 幻想的な大冒険や、重厚な冒険譚を期待して読むと確実に肩透かしを食らう。 ここはきっぱり言っておきたい。 あくまで、ファンタジー世界の設定をフル活用したグルメ漫画として読むのが正解の作品です。 中盤で離脱してしまった人にも、最後の2巻だけでも読み返してほしい。 途中を飛ばしても話はだいたい把握できるし、 あの大団円だけはちゃんと味わってもらいたい。 ここまで読んできてよかった、と思わせてくれる締め方をしてくれます。
良い所
- 調理が戦闘や探索と地続きの攻略になっているのが本当に面白い。生きる鎧の前振りが効いていて、可食部があると分かった瞬間の謎の感動は最高でした。
- ダンジョン探検での食糧事情は盲点だったと気づかされた。魔物を調理しながら冒険する発想が楽しく、魔物の生態まで理解できて、本当に楽しいコミックでした。
- 思わず「生態学だ!」と声が出た。探求と発見、推察と実践が即ち冒険というこの世界観に引き込まれました。動く鎧すら生命と捉える着眼点がすごく、一気買いしました。
- 食事をして幸せそうな絵に読んでいるこちらも幸せになり、とてもお腹が減ります。この本があれば迷宮が現れても食事には困らないだろうと思えました。
- モンスターの常識を生態系へと落とし込む発想力が凄まじい。美味しく調理して食べる行為と人間関係の相互理解に、リアルな生の感覚を覚えました。
悪い所
- 想像以上に手が込んでいたし登場人物もしっかりしているが、魔物の料理は味が想像できないし再現もできないので、私は1巻でリタイアしてしまった。
- ファリンを救うという目的はおまけ?というほど食べ物への熱が凄い漫画でした。テンポは良く読みやすいですが、つっこみどころが多い作品だと感じました。
- 妹そっちのけでダンジョングルメを満喫しているライオスはイカれていると思いました。動く鎧をどうやって食すかを最初に考えてしまうところとか、正直引いてしまいます。
- 絵柄が思っていたイメージと違ったと感じました。巻を追うごとに絵が緻密になっているのがわかるので、1巻の絵柄は初期っぽい荒削りな部分があります。
- 絵が特別上手いわけでもなくバトルが面白いわけでもなく、キャラクターの魅力もわからなかったので、人気の理由がよく理解できませんでした。




