レビュー著者: 漫画よしあし
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ゴブリンスレイヤー の感想と評価(良いところ、悪いところ)
良い所
- 「ゴブリンの恐ろしさ」を徹底したリアリズムで描く姿勢に、これまでのファンタジーの常識を覆されました。最弱とされる敵が、集団で人間を蹂躙する残忍な捕食者として描かれており、常に高い緊張感があります。
- 主人公が最強の力を持つのではなく、「準備と知恵で理不尽をねじ伏せる」職人的な戦い方が格好良い。罠や地形、相手の生態を徹底的に利用して効率よく仕留める姿は、TRPG的な戦略の面白さを感じさせます。
- 黒瀬先生のクオリティの高い作画が、作品のハードな空気を完璧に表現しています。汚物や血飛沫が舞う凄惨な現場から、一瞬の静寂まで、視覚的に訴えかける演出の強さが、物語の説得力をより高めています。
- 「俺は世界を救わない」という主人公のストイックなポリシーに惚れます。英雄譚ではない、地道で泥臭い掃除屋としての生き様が、多くの異世界ものとは一線を画す、独自の渋い魅力を放っている傑作だと思います。
- ゴブリンスレイヤーの周囲に集まる仲間たちが、彼の不器用な優しさに触れていく過程が丁寧に描かれています。殺伐とした世界の中で生まれる、ささやかな信頼と日常が、よりバトルの過酷さを際立たせています。
悪い所
- 性的暴力の示唆や残酷な描写が非常にショッキングなため、読む人を選びます。冒頭からゴブリンによる理不尽な蹂躙が描かれるため、苦手な読者には強い拒絶感を与える、非常に「劇薬」な側面がある作品です。
- 主人公の感情が見えにくく、「効率を追求しすぎる姿勢」に人間味の欠如を感じてしまい、共感しづらいことがありました。もっと彼自身の過去の傷跡だけでなく、現在の葛藤を具体的に吐露するシーンが見たかった。
- ゴブリン以外のモンスターとの戦いがほとんどないため、物語のバリエーションに限界を感じる時期がありました。設定上仕方ないですが、たまには別の脅威との本格的なバトルも、もっと見たかったなと感じます。
- 周囲の女性キャラクターたちが、「主人公を慕うための記号」に見えてしまうことがありました。彼女たち自身の冒険者としての矜持や個性を、主人公との恋愛要素以外でもっと掘り下げてほしかったな、というのが本音。
- 物語のテンポがゆったりとしており、「大きな物語の進展」を期待すると、日常回が長く感じることがあります。一話完結の任務も多いので、長編大作としてのカタルシスを求めていると、少し物足りないかもしれません。





