レビュー著者: 漫画よしあし
最終更新日:
ふしぎの国のバード の感想と評価(良いところ、悪いところ)
ふしぎの国のバード
著者: 佐々大河
連載: ハルタ
評価: 8.6/10
あらすじ
明治11年、近代化の波が押し寄せ、古き良き日本の伝統や美しい生活が急速に失われつつあった時代。イギリス人女性冒険家イザベラ・バードは、通訳の青年・伊藤鶴吉を雇い、未開の地とされていた東北・北海道への前人未到の過酷な旅路へと旅立つ。原著『日本奥地紀行』をもとに、当時のリアルな貧困、不衛生な環境、そしてアイヌ文化の深遠さまでを徹底的な時代考証と圧倒的な画力で活写する。異国の女性の目を通して描かれる、日本の美しき原風景、人々の温かさ、そして旅を通じて二人が紡いでいく絶対の信頼関係。美化された文明開化の影にある、当時のありのままの日本の真姿を克明に描き出す、一大歴史紀行巨編!
読む前に確認したい相性
向いている人
- 明治初期の日本を外国人女性冒険家の視点から追体験できる、独自の切り口の歴史紀行漫画が好きな人
- 緻密で圧倒的な画力と時代考証で、文明開化の影にある当時の日本の光と影を体感したい人
- 言語が通じない状況の心細さや、異国を旅する没入感がダイレクトに伝わる独特の演出に魅力を感じる人
向いていない人
- 刊行ペースが遅く、何年経っても旅路がゆったり進む長期連載のペースに強いストレスを感じる人
- 感染症や極貧の生々しい描写が多く、ファンタジーや明るい旅行漫画を期待して手に取る人
- 史実を元にした漫画と知りつつ、創作エピソードの多さにドキュメンタリーとしての正確さを求める人
良い感想・レビュー
- 文明開化の影で消えゆこうとしていた、明治初期のありのままの日本をバードの視点から追体験できるのが本当に面白い。当時の極貧の暮らし、不衛生な環境、文化の生々しいリアルさが丁寧に活写されている。
- 佐々大河先生による、当時の険しい山道や婚礼、アイヌコタンの様子などの圧倒的に緻密で美しい画力が素晴らしい。原著の文章だけでは掴みきれなかった明治の風景が、圧倒的な視覚的説得力で眼前に広がる。
- おてんばで好奇心の塊なバードと、慇懃無礼で超優秀な通訳の伊藤鶴吉とのバディ関係がとにかく魅力的だ。ただの歴史の記録に留まらず、二人が旅を通じて絶対の信頼を築いていく過程が凄く胸を熱くする。
- 日本語が分からないバードの視点を再現するため、周囲の日本語をぼかす独特の演出に痺れた。言葉が通じない心細さや、異国を旅している圧倒的な当事者としての没入感を読者側もダイレクトに味わえる。
- ただの観光漫画ではなく、アイヌに対する和人の冷酷な差別など、当時の過酷な社会問題も隠さず描く真摯さが好印象だ。綺麗な部分だけではない、歴史の明暗を真面目に見つめ直すことができる傑作だと思う。
悪い感想・レビュー
- 史実では40代後半だったバードが若くて可愛いお姫様のように描かれ、伊藤鶴吉も有能なツンデレイケメンになっているなど、脚色が強すぎる。歴史ドキュメンタリーとしての忠実さを期待すると違和感がある。
- 掲載誌ハルタの発売スパンや緻密な描き込みのせいで、単行本の刊行スピードが非常に遅いのが辛い。何年経っても東北や北海道をゆったり進む旅路なので、早くサクサクした物語の結末が見たい私には不満だ。
- 感染症や皮膚病、宿屋に溢れるノミやダニ、極貧の村の生々しい貧困など、あまりに不衛生で暗い現実の描写が多いて読んでいて少し気が滅入った。お気楽で楽しいファンタジーな紀行ものを求める人には合わない。
- 原著『日本奥地紀行』のエピソードをベースにしつつも、漫画的な盛り上がり用の創作エピソードがかなり多い。史実のドキュメントだと思って読むと、どこまでが本当でどこからが創作か判別しにくく戸惑う。
- とにかく作画が細かすぎて一ページの線の密度が高く、情報量が多すぎて少し目が滑る。旅先で出会う大量の村人たちや、和人のキャラクターたちが少し見分けづらい瞬間があり、読むのに集中力を使い疲れる。
良い感想・レビュー
悪い感想・レビュー
文明開化の影で消えゆこうとしていた、明治初期のありのままの日本をバードの視点から追体験できるのが本当に面白い。当時の極貧の暮らし、不衛生な環境、文化の生々しいリアルさが丁寧に活写されている。
史実では40代後半だったバードが若くて可愛いお姫様のように描かれ、伊藤鶴吉も有能なツンデレイケメンになっているなど、脚色が強すぎる。歴史ドキュメンタリーとしての忠実さを期待すると違和感がある。
佐々大河先生による、当時の険しい山道や婚礼、アイヌコタンの様子などの圧倒的に緻密で美しい画力が素晴らしい。原著の文章だけでは掴みきれなかった明治の風景が、圧倒的な視覚的説得力で眼前に広がる。
掲載誌ハルタの発売スパンや緻密な描き込みのせいで、単行本の刊行スピードが非常に遅いのが辛い。何年経っても東北や北海道をゆったり進む旅路なので、早くサクサクした物語の結末が見たい私には不満だ。
おてんばで好奇心の塊なバードと、慇懃無礼で超優秀な通訳の伊藤鶴吉とのバディ関係がとにかく魅力的だ。ただの歴史の記録に留まらず、二人が旅を通じて絶対の信頼を築いていく過程が凄く胸を熱くする。
感染症や皮膚病、宿屋に溢れるノミやダニ、極貧の村の生々しい貧困など、あまりに不衛生で暗い現実の描写が多いて読んでいて少し気が滅入った。お気楽で楽しいファンタジーな紀行ものを求める人には合わない。
日本語が分からないバードの視点を再現するため、周囲の日本語をぼかす独特の演出に痺れた。言葉が通じない心細さや、異国を旅している圧倒的な当事者としての没入感を読者側もダイレクトに味わえる。
原著『日本奥地紀行』のエピソードをベースにしつつも、漫画的な盛り上がり用の創作エピソードがかなり多い。史実のドキュメントだと思って読むと、どこまでが本当でどこからが創作か判別しにくく戸惑う。
ただの観光漫画ではなく、アイヌに対する和人の冷酷な差別など、当時の過酷な社会問題も隠さず描く真摯さが好印象だ。綺麗な部分だけではない、歴史の明暗を真面目に見つめ直すことができる傑作だと思う。
とにかく作画が細かすぎて一ページの線の密度が高く、情報量が多すぎて少し目が滑る。旅先で出会う大量の村人たちや、和人のキャラクターたちが少し見分けづらい瞬間があり、読むのに集中力を使い疲れる。




