レビュー著者: 漫画よしあし
最終更新日:
はじめアルゴリズム の感想と評価(良いところ、悪いところ)
はじめアルゴリズム
著者: 三原和人
連載: ビッグコミックスペリオール
評価: 8.5/10
あらすじ
天才的な数学の才能を持つ少年・関口ハジメ。彼は、老数学者・内田豊との出会いを通じて、数学で世界を「視る」楽しさを知る。三原和人が贈る、情緒あふれる学習ジュブナイル漫画。数字、数式、アルゴリズム。それらはすべて、この美しい世界を解き明かすための冒険の道具だった。ハジメが繰り広げる知的な大冒険の果てに、何が見えるのか。数学への愛と、師弟の絆が紡ぐ、珠玉の物語!
良い所
- 数学を「難解な勉強」としてではなく、日常の風景に潜む美しさを解き明かすための「情緒」として描いている点に感動しました。文系の自分でも、数式の美しさや数学のロマンを肌で感じることができました。
- 天才少年ハジメの「世界が数字や図形で見えている」という独特の思考回路の描写が秀逸です。視覚的に数学を表現する演出が素晴らしく、まるで自分も天才になって世界を覗き見ているような感覚を味わえました。
- 内田先生がハジメの才能を尊重し、教えるのではなく共に歩むという師弟関係がとても理想的です。子供の純粋な好奇心を大人がどう守り育てるべきかというテーマは、教育に関わる人にも深く響くはずです。
- 登場人物たちが数学を通じて繋がり、それぞれの人生の悩みや葛藤を数式で解決しようとする姿が熱いです。単なる知識の披露ではなく、キャラクターの心の成長がしっかりと物語の核になっているのが素晴らしい。
- 全10巻という構成で、ハジメの成長と数学への飽くなき情熱が綺麗に完結しています。知的好奇心が刺激されると同時に、読後には世界が昨日より少しだけ違って見える、そんな素敵な読書体験を与えてくれる傑作です。
悪い所
- 物語が後半に進むにつれて、テーマがより抽象的で哲学的になり、数学的な内容を理解するのが難しく感じる場面がありました。もっと具体的なパズルや問題解決のプロセスが見たい人には、少し難解かもしれません。
- 主人公が「ひらめき型の天才」であるため、地道な計算や理論の積み重ねの苦労があまり描かれない点に少し違和感を覚えました。数学のリアリティよりも、ファンタジーとしての「才能」が強調されすぎている印象です。
- ストーリーが全体的に静かで淡々としているため、派手な盛り上がりや熱血バトル的な展開を期待すると肩透かしを食らいます。あくまで数学を題材にした人間ドラマであり、静かな情緒を楽しむ作品だと割り切りが必要です。
- ハジメ以外のキャラクターが時折、彼の才能を引き立てるためだけの役割に見えてしまうことがありました。周囲の人々の人生や数学以外の側面についても、もう少し深く掘り下げてほしかったなと感じる時期があります。
- 数学が苦手な人への配慮は感じられますが、一部の専門用語の解説が不十分なまま進む箇所もあり、置いてけぼり感を感じることがありました。もう少し、初心者に寄り添った丁寧な補足があれば、より完璧だったはず。



