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最終更新日:

らーめん再遊記 の感想と評価(良いところ、悪いところ)

らーめん再遊記

らーめん再遊記

著者: 河合単久部緑郎

連載: ビッグコミックスペリオール

ジャンル: ドラマ職業グルメ

評価: 8.7/10

あらすじ

ラーメン界に君臨するカリスマ・芹沢達也。しかし、時代の変化と共に自らの情熱が枯渇しつつあることに気づき、彼は「ミドルエイジ・クライシス」に陥っていた。自分は何のためにラーメンを作ってきたのか。隠居を考え始めた彼が、再び戦いの荒野へと踏み出す。ラーメン界の怪物・芹沢の、魂の再始動を描くビジネス・グルメロマン!

良い所

  • あの圧倒的カリスマだった芹沢サンが、老化や情熱の喪失に悩む姿があまりに人間臭くて、同じおじさんとして共感と感動で胸が熱くなりました!彼が再び「ワクワク」を取り戻していく過程に、勇気をもらえます。
  • ネット社会や最新トレンドに翻弄される現代のラーメン業界への皮肉と洞察が相変わらずキレッキレで、ビジネス書を読むよりも深い学びがあります。芹沢サンの毒舌は、もはや一つの哲学と言っても過言ではありません。
  • 単なるラーメンの作り方ではなく、「どうすれば商売として成立するか」という冷徹な視点が全編を貫いていて、非常に知的な興奮を味わえます。流行りに流される大衆への「情報の食い物」という断言には、今回も痺れました。
  • シリーズを追ってきたファンとしては、芹沢サンの新たな一面(サウナ好きやプロレスオタクなど)が垣間見えるのが堪らなく面白いです。隠居おじさんのような緩い日常と、仕事での怪物の顔のギャップが最高です。
  • 過去作のキャラクターが意外な形で登場する演出には、長年のファンとして本当に胸が熱くなりました。シリーズの集大成としての重厚感がありつつも、新しい風を取り入れようとする意欲に、作者の熱量を感じます。

悪い所

  • 初期の『ラーメン発見伝』のようなストレートな勝負と熱血展開を期待していると、あまりに「おじさんの内省」に寄った内容に、少し戸惑いを感じてしまうかもしれません。かなり大人向けの、落ち着いたトーンの作品です。
  • 物語のテンポがゆったりしており、ラーメンの調理シーンよりも芹沢サンのモノローグの方が長い回があるのが、純粋なグルメ漫画を求めている人には物足りないかも。話の密度は高いのですが、動きは少なめです。
  • 長期シリーズゆえに、河合先生の絵柄に少し経年変化(衰え)を感じてしまう場面がありました。特にキャラクターの表情の硬さが気になる回もあり、全盛期のあのダイナミックな描写を期待すると少し寂しい気もします。
  • 芹沢サンがあまりに「普通のおじさん」化しているシーンが多く、かつての冷酷で完璧な悪役像を愛していた自分としては、少し複雑な気持ちになることも。そこが魅力でもあるのですが、カリスマ性が削がれたようにも見えます。
  • ネット上の批判や承認欲求をテーマにした回は、読んでいて胸が痛くなるような現代の嫌なリアリティに溢れていて、少し落ち込んでしまうこともありました。娯楽として読むには、少し現実の毒が強すぎるかもしれません。

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