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機動戦士ガンダム サンダーボルト の感想と評価(良いところ、悪いところ)

機動戦士ガンダム サンダーボルト

機動戦士ガンダム サンダーボルト

著者: 太田垣康男

連載: ビッグコミック スペリオール

ミリタリーメカSF戦争ドラマガンダム

評価: 9.2/10

あらすじ

宇宙世紀0079、一年戦争の激戦地“サンダーボルト宙域”を舞台に、連邦軍のテロリスト狩り部隊“第13独立部隊”と、ジオン残党“サンダーボルト宙域を拠点とする民間の反乱組織”との戦いを中心に、義手・義足など傷を抱えた兵士たち、人間としての苦悩と信念、戦場の非情さと美しさを描く。モビルスーツ同士の激しい戦闘だけでなく、音楽(ジャズ)、戦争後遺症、軍の倫理と個人の正義など、戦争の“人間側”の側面に強く重きを置いた物語。

良い所

  • モビルスーツの戦闘描写が圧倒的で、粒子や砲撃、被弾のリアルさが手に汗握る。
  • キャラクター一人ひとりの痛みや背景が丁寧に描かれていて、イオやダリルの感情の揺れを追うたびに心が締め付けられる。
  • 義手・義足など身体的な欠損を持つ兵士たちの描写が“傷の美学”に陥らず、生々しく“戦争の代償”として描かれているところに引き込まれる。
  • 作画の密度が高くて、戦場のデブリや機体の傷み、暗闇の中の機械の質感まで伝わってくる。メカ好き、ロボット好きにはたまらない。
  • 戦争という大きなテーマを扱いつつも、一兵士の視点や“守りたいもの”の描写があるのでドラマとしての厚みがある。戦争の悲劇をただ見せるだけでない人間ドラマがある。

悪い所

  • 話が重く悲劇的な展開が続くので、読んでいると気持ちが沈んでしまう章が多く、ずっと読むのに体力が要る。
  • モビルスーツ戦闘の派手さはあるが、そのぶん描写の細かさゆえに説明や背景が過剰になり、テンポが遅く感じるページがある。
  • 主要キャラクター以外の脇役の掘り下げにばらつきがあり、ある人物は強く印象に残るが、他は使い捨て感があるように感じることがある。
  • 戦争ものによくある描写だが、敵味方両方に共感できるキャラクターを配置することで、時にストーリーの中心がぶれてしまう印象を受けることがある(どちらにも肩入れしてしまうような複雑さがもどかしい)。
  • 物語が進むごとに設定が重層化していき、“宇宙世紀”ガンダムの既存設定との絡みで知識があるかないかで理解度に差が出るため、初心者には敷居が高く感じる。

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