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空母いぶきGREAT GAME の感想と評価(良いところ、悪いところ)

空母いぶきGREAT GAME

空母いぶきGREAT GAME

著者: 八木勝大/潮匡人/かわぐちかいじ

連載: ビッグコミック

軍事戦争サスペンスドラマ国際政治

評価: 9/10

あらすじ

地球温暖化で北極海の海氷が減少し、資源と航路で覇権争いが激化する20YX年。自衛隊の護衛艦「しらぬい」に乗る艦長候補の蕪木(かぶらぎ)は民間調査船を守るため行動を起こすが、それが国際的な軍事緊張へと発展する。ロシア、アメリカなど大国の思惑、海上・潜水艦・電子戦など様々な戦術が入り混じる中で、国防とは何か、ミリタリーとは何かを問いながら物語が進む。

良い所

  • 戦闘描写が非常に緻密で、潜水艦やミサイル、電子戦など“現代戦”の怖さをしっかり感じさせる場面が多くて読むたびにハラハラする。
  • 自衛隊員や政治家、艦長たちの葛藤や判断がリアルに描かれていて、“兵器がすべてではない”という人間ドラマが物語に厚みを与えている。
  • ロシアとの対立構図・海上での駆け引きが緊迫していて、どの国の立場でも一筋縄ではいかない“外交と軍事”の暗部が垣間見える展開に引き込まれた。
  • 前作『空母いぶき』からの延長線でありながら、新たな舞台と新主人公を据えていて、過去作品を知らなくても十分楽しめる導入だと思う。
  • 魚雷戦のシーンなど、戦術的な緊張と海上/潜水艦間での攻防が見事で、読み直したくなる迫力があった。

悪い所

  • 政治・国際的な策略や海軍の技術描写が濃いため、専門用語や戦略が多すぎて読みづらく感じる場面がある。
  • 巻を重ねるごとに軍事的な描写や戦術説明が続くため、キャラクター同士の人間関係や心理描写の余白が減ってきている印象がする。
  • 緊張感を演出するためのリスクや被害の描写が多く、読んでいて重く感じる。特に民間船や無抵抗の対象が戦闘に巻き込まれる場面に心が痛むことがある。
  • 現実世界の状況とリンクしすぎる設定のため、フィクションとしての“逃げ場”があまりなく、読むのに覚悟が必要だと感じる時がある。
  • 戦闘や駆け引きが中心なので、息抜きやユーモアの要素を期待していたが、それらが少ないため連続で読むと疲れてしまう。

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