レビュー著者: 漫画よしあし
最終更新日:
推しが武道館いってくれたら死ぬ の感想と評価(良いところ、悪いところ)
推しが武道館いってくれたら死ぬ
著者: 平尾アウリ
連載: 月刊COMICリュウ
評価: 8.5/10
あらすじ
岡山県を拠点に活動する地下アイドル「ChamJam」。その不人気メンバー・舞菜に人生のすべてを捧げるオタク・えりぴよ。自らの生活を限界まで削り、赤ジャージ姿で現場に通い詰める彼女の熱量は、周囲のオタクたちも一目置くほどだった。平尾アウリが描く、アイドルとオタクの「究極の片想い」。もどかしい距離感、不器用なすれ違い、そして揺るぎない愛。推しがいるすべての人に捧ぐ、肯定と感動の物語!
良い所
- オタクの狂気的な熱量と切ない心情の描き方が、あまりにもリアルで胸に刺さります。「自分の1分1秒が推しの人生に必要」という名言など、現場に通う人なら誰もが涙するような共感の嵐がここにあります。
- 主人公えりぴよの、自分の生活をすべて投げ打ってでも舞菜を応援する献身的な愛が尊いです。そんな彼女を密かに大切に想う舞菜。二人の「アイドルとファン」という垣根を越えた純愛に、何度も胸が熱くなりました。
- オタク仲間たちが、互いの異なるスタンス(ガチ恋、同担拒否等)を認め合い尊重する姿が素晴らしいです。「推し活」という孤独な戦いの中に生まれる妙な絆と、それを肯定してくれる物語に深く癒やされました。
- 平尾アウリ先生の描く、独特の間とシュールなコメディのバランスが絶妙です。オタクの奇行に笑わされつつも、ふとした瞬間にアイドルの夢や孤独を描くシリアスな展開に、一気に引き込まれてしまいます。
- 地下アイドルの地道な活動や葛藤が丁寧に描写されていて、「推す側」と「推される側」の両方の視点で物語を楽しめます。誰かを全力で愛することの格好良さを教えてくれる、現代のバイブル的な名作だと思います。
悪い所
- 独特な絵柄とギャグのテンポに馴染むまで、少し時間がかかってしまいました。オタクの生態をリアルに描きすぎているため、内輪ノリのような空気感についていけない瞬間があったのが正直なところです。
- 劇的な事件があまり起こらず、地方アイドルのイベントの繰り返しがメインなので、物語の展開が少し淡々としているように感じることがありました。もっとストーリーとしての大きな起伏や変化を期待していました。
- えりぴよの献身が、客観的に見ると「あまりにも生活が破綻しすぎている」ため、笑いよりも心配や引き気味な感情が勝ってしまう場面がありました。ギャグとしての誇張だと分かっていても、少し極端すぎます。
- 登場人物のオタクたちが皆、「理想的で良いオタク」として描かれすぎている印象を受けました。現実の現場にあるようなドロドロとした人間関係やトラブルをもっと描いた方が、よりリアリティが増した気がします。
- アイドル側のメンバーの掘り下げに差があり、特定のキャラだけが目立ってしまっている時期がありました。全員を応援したくなる作品なだけに、全メンバーの背景や葛藤をもっと均等に見たかったなと感じます。




