レビュー著者: 漫画よしあし
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創世のタイガ の感想と評価(良いところ、悪いところ)
良い所
- 森恒二先生らしい、徹底した格闘・サバイバル描写が圧巻。現代人が原始時代の技術や戦略をどう活かすかという構成が非常に説得力があり、マンモスとの死闘シーンなどは手に汗握る迫力がありました。
- 単なるアクション漫画ではなく、人類学的な視点や『文明とは何か』という哲学的な問いかけが含まれている。タイガが平和な現代の価値観を捨て、戦士として覚醒していく過程が非常に熱く、共感してしまいます。
- ネアンデルタール人とホモ・サピエンスの生存競争というテーマが興味深い。異種族間の対立や共存の難しさがリアルに描かれていて、歴史のifとしても非常に楽しめる内容だと感じました。
- 登場キャラクターたちが、極限状態の中でどんどん逞しくなっていく成長劇が秀逸。森先生の作品特有の『強さとは何か』というテーマが、この原始の世界という舞台設定で見事に結実しています。
- 絵のタッチが非常に躍動感があり、巨大生物のスケール感がよく伝わってくる。特に物語序盤の、得体の知れない世界に放り込まれた際の絶望感と、そこからの逆転劇のテンポが非常に良かったです。
悪い所
- 物語の都合上、かなり凄惨な暴力描写や、原始的な残酷さが強調されている場面が多く、人によっては気分を害する可能性がある。森先生の過去作と同様、かなり読者の覚悟を問う作風です。
- 現代からタイムスリップした割には、タイガの適応能力が高すぎて、少しリアリティに欠けるように感じられる箇所もある。もう少し現代人としての戸惑いや葛藤を長く描いて欲しかった気もします。
- キャラクターの言動が時々極端というか、ステレオタイプな格闘家(戦士)的な思考に寄りすぎていて、感情移入しづらい瞬間があった。もう少し人間臭い、弱い部分の描写も欲しかったです。
- 設定は壮大ですが、展開がある程度『新しい敵が出る→戦う→勝つ』の繰り返しに見えてしまうことがあり、少し中弛みを感じる巻があった。SF的な謎解き要素をもっと早く進めて欲しいと感じました。
- ヒロイン的なキャラクターの扱いがやや定番すぎて、もう少し独自性のある展開を期待していた。全体的に『男の戦い』に重きを置いているため、群像劇としての幅の広さはそこまで感じられないかもしれません。


