レビュー著者: 漫画よしあし
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マザーグール の感想と評価(良いところ、悪いところ)
良い所
- 阿部洋一先生の描く怪物のデザインが非常に独創的で不気味。極限状態での少女たちの心理描写が丁寧で、「誰が信用できるのか」という緊張感がずっと続く構造が巧みです。
- 「お嬢様」という属性を逆手に取ったサバイバルものとして、設定の面白さが際立っています。ショッキングな展開も多いですが、その分カタルシスも大きく、先が読めない展開に引き込まれます。
- キャラクターたちの死生観や価値観の変化が、環境の変化に合わせて丁寧に描写されていて読み応えがあります。単純な勧善懲悪でなく、誰もが傷つき誰もが間違える人間的なリアリティが好きです。
- ホラー要素としての怪物の不気味さと、人間同士のドロドロとした心理戦が融合していて、二重の意味で「怖い」作品。阿部洋一作品特有の黒いユーモアも混在していて、独特な読書体験ができます。
- サバイバル漫画として見た場合、どうやって生き延びるかという「知恵」の使い方がリアルに描かれていて、無計画な行動や判断ミスの描写が緊張感を高めています。島の謎解きという要素も面白い。
悪い所
- 内容がかなりダークで、救いのない展開が連続することがあります。好きなキャラが容赦なく死んだり、精神的に追い詰められる描写が多いため、気軽な気持ちで読むと大ダメージを食らう可能性があります。
- 阿部洋一作品特有のシュールでブラックなユーモアが入ってくることがあり、緊張感とのバランスに違和感を感じてしまう読者もいるかもしれません。真剣なホラーを期待すると少しトーンが揺れる印象です。
- 登場人物の多さや死亡フラグの過密さで、誰が誰か把握しにくくなる時期があります。メインを絞って深掘りするより、多数を次々消費する構造なので、特定キャラへの感情移入がしづらくなる側面も。
- 島の真相や怪物の正体など、謎の開示がゆっくりすぎると感じる時期がありました。ホラーサスペンスとして「引き」は抜群ですが、回収のテンポにじれったさを感じてしまうことも。
- 極限状態の描写がリアルな分、一部の「ご都合主義的」な生存のさせ方が目立つ場面もありました。何人かの生存が論理的に納得しにくいと感じる瞬間があり、そこだけリアリティのバランスが崩れた印象でした。




