レビュー著者: 漫画よしあし
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惡の華 の感想と評価(良いところ、悪いところ)

惡の華

惡の華

著者: 押見 修造

連載: 別冊少年マガジン

ジャンル: ドラマサイコ・スリラー青春学園

評価: 8.8/10

あらすじ

閉塞感あふれる地方都市を舞台に、思春期の少年少女たちが抱える鬱屈とした感情と、その「影」を剥き出しにしていく姿を描いた青春白書。ボードレールの詩集に心酔する中学生・春日高男が、クラスの美少女の体操着を盗んだことを目撃されたところから、異質な少女・仲村佐和との狂気的な関係が始まる。自己の醜悪さや性的衝動に悩み、既成の価値観を破壊しようともがく彼らの姿は、読者の心に強烈な違和感と共感を同時に突きつける問題作である。

良い所

  • 思春期特有のヒリヒリとした痛みや、自意識の過剰さが見事に描かれている。自分の中に隠しておきたい醜い部分を肯定されるような、強烈な読書体験ができる。
  • 前半の閉塞感から、後半の再生へと向かう物語の構成が圧巻。単なる変態漫画ではなく、人間が自我を確立していくまでのプロセスを真摯に描いた傑作だと思う。
  • 押見先生の描くキャラクターの表情が素晴らしい。特に仲村さんの狂気を孕んだ目や、絶望に満ちた春日の表情など、絵の力だけで感情がダイレクトに伝わってくる。
  • ボードレールの詩をメタファーとして使いながら、誰にも言えない秘密を共有する緊張感がたまらない。背徳感とカタルシスが混ざり合った唯一無二の雰囲気がある。
  • 一気に読んでしまった。読後感は重いが、自分の過去の葛藤を見つめ直すきっかけになる。大人になった今こそ、この物語の持つ意味が深く刺さるように感じる。

悪い所

  • 物語の導入部から倫理的に受け入れがたい描写が多く、拒絶反応を示す読者も多いだろう。非常にアクが強く、読む人を選ぶ作品であることは間違いない。
  • 中盤までの狂気的な盛り上がりに比べると、後半の展開はやや静かで哲学的すぎるように感じた。もっと刺激的な結末を期待していたため、少し物足りなさがあった。
  • 生理的に不快なシーンも含まれており、純粋なエンタメを求めている人には向かない。精神的に余裕がある時に読まないと、かなり心を持っていかれるので注意が必要。
  • ロトスコープでのアニメ化などメディア展開も多いが、やはり原作の剥き出しの質感が最も強い。アニメから入ると絵のギャップに驚くかもしれないが、内容は原作が一番重い。
  • 春大の自意識過剰な独白が続くため、彼に共感できないとただの独りよがりな少年の物語に見えてしまう。主人公の性格が極端すぎて、入り込めない場面があった。

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