レビュー著者: 漫画よしあし
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無限の住人 の感想と評価(良いところ、悪いところ)
良い所
- 沙村広明先生の、神がかった圧倒的な画力に全ページ圧倒されました!筆致の鋭さと、浮世絵のような構図の美しさ。特に、飛び散る鮮血や損壊する肉体さえも芸術的に見せてしまう表現力は、唯一無二の衝撃です。
- 卍と凜の、「契約」から始まり、次第に魂で繋がっていく関係性が本当に尊いです。凜の未熟ゆえの葛藤と、それを突き放しながらも見守る卍の不器用な優しさに、復讐劇の中の一筋の光を感じて何度も泣きました。
- 敵役である逸刀流の天津影久が、単なる悪党ではない「己の正義」を持つ男として描かれているのが素晴らしい。正解のない価値観のぶつかり合いに、読み手としても「何が正しいのか」を深く考えさせられました。
- 独創的すぎる武器と、それを使った予測不能な殺陣の描写に、男としての本能的な興奮を抑えきれませんでした!時代考証を超越したパンクな世界観が、この作品を唯一無二の「ネオ時代劇」に昇華させています。
- 30巻という長い旅路の果て、あの完璧すぎるラストシーンを読み終えた時、しばらく本を閉じて放心してしまいました。復讐の果てに何が残るのか。その答えを、これほどまでに美しく提示した作品は他にありません。
悪い所
- 残虐描写やグロテスクなシーンが極めて容赦ないため、耐性がない人には本気で吐き気を催すレベルの内容かもしれません。手足が飛ぶのは当たり前、さらに生理的な嫌悪感を誘う描写も多いので、覚悟が必要です。
- 物語の構成が非常に複雑で、三つ巴、四つ巴の勢力争いが同時進行するため、間を空けて読むと「この人は今どこの勢力だっけ?」と混乱してしまいます。一気に、集中して読み通さないと全貌を把握するのが大変です。
- 主人公・凜の甘さや、危機感のなさにイライラしてしまう場面がありました。復讐を誓いながらも迷い続け、時に卍を窮地に追い込む彼女の行動に、もっと覚悟を決めて!と説教したくなる読者もいるかもしれません。
- 中盤、物語のテンポが少し停滞するエピソード(加賀編など)があり、メインの決着を早く見たい自分には少し長く感じられました。心理描写は深いのですが、もう少しサクサク進んでほしい時期もありました。
- セリフ回しがかなり独特で哲学的、かつハードボイルドなため、流し読みをすると物語の意図を取りこぼしてしまいがちです。じっくりと、言葉の裏側を読み解く必要があるため、気軽な娯楽として読むには少し重いです。




