レビュー著者: 漫画よしあし
最終更新日:
ざつ旅-That's Journey- の感想と評価(良いところ、悪いところ)
ざつ旅-That's Journey-
マークダウンで表示著者: 石坂ケンタ
連載: 電撃マオウ
評価: 9.1/10
あらすじ
描いたネーム(絵コンテ)が全てボツになり、心が折れかけた新人漫画家志望の鈴ヶ森ちか。悶々とする日々に耐えかねた彼女は、『どこか旅に出たい…』とSNSで突発的にアンケートを取り、行き先をフォロワーに委ねて旅立つことに!下調べも計画も一切なし、現地での偶然の出会いや迷子、地元のご当地グルメをありのままに楽しむ、あまりに「ざつ」な逃避行。旅を通して自分の焦りや不安に向き合い、創作への情熱をゆっくり取り戻していくちかの等身大の葛藤。親友の暦たちと過ごす、優しくて不器用な少女たちの成長と、日本各地の実在する名所の美しい風景。読めば旅に出たくなる、最高に気楽で愛おしいロードムービー風日常コミック!
良い所
- 私は「SNSのアンケート投票で行き先を丸投げし、下調べなしで突発的に旅に出る」というざつ旅のコンセプトに激しく共感した。読んだ翌日に、何の意味もなく新幹線に飛び乗りたくなる最高の旅への誘惑。
- ただの観光地紹介じゃなく、「漫画が売れない、描くことから逃げるために旅に出ている」と焦るちかの等身大の葛藤がすごく丁寧。同じクリエイターとして身につまされるし、成長する彼女を絶対に応援したくなる。
- 会津若松の1225段の石段や、新潟、そして能登半島など、実在する日本各地のローカルな観光地や美味いご当地飯の描写が素晴らしい。13巻の売り上げが能登に寄付されたのも、作者の真摯な愛を感じて感動。
- ちかを温かく見守る親友の暦ちゃんが、自らの大学の進路や将来への不安に揺れる女友達同士の繊細な心理がすごく刺さる。ただの旅のガイドブックじゃない、良質な女の子たちの青春ドラマとして本当に上質。
- 2025年放送のテレビアニメの、マカリアが描く00年代のノスタルジックな空気感を活かした作画がまじで最高だった。ちかと暦が田舎の路地裏を歩くだけの静かなシーンが、今でも深く胸に焼き付いている。
悪い所
- 最初はのんびり旅をして美味しいご飯を食べる話だったのに、後半からちかの「漫画が売れない焦りやウジウジした苦悩」の描写が多めで少し重苦しい。もっと『ゆるキャン』的な気楽な癒やしを求めていた。
- 「ざつ」な旅とはいえ、薄着のまま冬の東北に行って凍えたり、宿の確保を直前まで忘れていたりと無計画すぎ。リアルな旅行好きの僕からすると、現地の人に迷惑をかけかねない危なっかしさにハラハラした。
- 2025年春に放送されたテレビアニメ版の、少し抽象的で記号的な尖ったシャフト風の演出が、私の好みには合わなかった。原作の持つ素朴で泥臭い、等身大の手作り感あふれる日常の良さが少し損なわれた気がする。
- 日常のゆるい会話や、移動中の車内でのダラダラしたやり取りに何ページも費やすため、全体のストーリーの進行ペースが非常にスローペースに感じる。14巻まで進んでも、まだ大きな物語の進展が少なくて退屈かも。
- ちかの性格が良くも悪くも流されやすく他力本願なところが目立ち、たまに少しイライラした。SNSのアンケートに頼りきりなのもそうだけど、もう少し自分で「ここに行きたい!」という強い主体性を見せてほしい。





