レビュー著者: 漫画よしあし
最終更新日:
銀太郎さんお頼み申す の感想と評価(良いところ、悪いところ)
銀太郎さんお頼み申す
著者: 東村アキコ
連載: ココハナ
評価: 8.8/10
あらすじ
新宿のビルの1階にあるカフェでアルバイトをする25歳の岩下さとり。先の見えない毎日を送る彼女の前に、凛とした着物姿の美女がふらりと現れる。器の販売会を手伝うことになったさとりは、3階の美容室のヨシエ先生に着付けてもらい、はじめての和装に目をみはる。美女の名は銀太郎。京都の花街で名を知られた元芸妓で、いまは器を商う人だった。着物の名前も季節の決まりも知らないさとりは、押しかけるように弟子入りを願い出る。紗や絽の違いから香道、器の見立てまで、ひとつずつ覚えていく毎日。唐津の窯を訪ねた旅では、銀太郎が胸にしまってきた恋人との死別にも触れる。何も知らない若者が、粋な師匠のそばで着物の奥深い世界に触れていく修行の日々!
読む前に確認したい相性
向いている人
- 着物に興味はあっても何から覚えればいいかわからず、柄や季節の決まりごとを漫画で楽しく知りたい人
- 歳を重ねた大人と何も知らない若者という、正反対の師弟がかみ合っていく掛け合いを味わいたい人
- 着物だけでなく香りや器にも触れながら、ふだん縁のない日本文化を気軽に学んでみたい人
向いていない人
- 物を知らない主人公が大げさに驚く場面が多いため、テンションの高いボケ役が続くと疲れてしまう人
- 花街や芸妓の名前、言葉づかいに詳しく、実際のしきたりとの細かな違いが気になりやすい人
- 着物の知識を学ぶ楽しさよりも、先が気になってしかたないストーリーの起伏を漫画にいちばん求める人
良い感想・レビュー
- 紗がシャアにしか聞こえない主人公に、着付けを習いはじめた頃を思い出して笑いました。着物初心者のつまずきをそのまま描いてくれるのが楽しく、銀太郎さんの魅力や人間関係も見逃せません。
- 知識も経験もゼロの若者が、着物を愛する人たちの世界に飛び込んで起こる化学反応が楽しい。年齢を重ねた美しい師匠と、野暮ったさ全開の若者という正反対の二人を描き分ける力、着物や器の細やかな絵はさすがだ。
- 銀太郎さんが主人公を『うちの勝虫』と呼ぶくだりにはグッときました。柄が良くて高価な着物だからといって似合うわけではないと気づかされたり、帯締め占いに驚いたり、着物の沼が深すぎます。
- 現代っ子のさとりちゃんと一緒に、日本人なのに知らなかったことを日々学べる作品。着物を入り口にして日本文化まで知っていけるので、源氏香の話はとても勉強になりました。東村作品の中でもいちばん好きです。
- なにも知らない主人公が『着物を着たい!』という気持ちだけで和の文化に触れていく流れに、すっと共感できる。着付けしてもらうときの勢いある擬音がまさにその通りで、思わず笑ってしまう。
悪い感想・レビュー
- 25歳の主人公の語彙や教養のなさがギャグとして笑えないほどです。和裁と聞いて野菜と返したり、着物のプロに囲まれて長く過ごしても言い間違いが直らなかったり、さむざむとする場面があります。
- 耳慣れない言葉が出るたびにハイテンションで反応する主人公が、正直しんどい。耳にした言葉を調べてノートに書くのは偉いが、ひとつ覚えたらそこから知識を広げてほしいともどかしくなる。
- 京都の元芸妓という設定なのに、作中では『芸妓は男名が当たり前』という扱いで、実際の京都の芸妓の名前とずれているのではとモヤモヤしました。言葉づかいも含め、伏線であってほしいところです。
- 主人公のテンションが高く、銀太郎さんがしとやかなぶん、よけいにうるさく感じる。芸妓の『おたの申します』に慣れていると、『お頼み申す』という言い回しが強すぎてイメージに合わないのも気になった。
- 作者が着物にはまっているから描いた着物漫画という印象で、ストーリー漫画としての面白さは感じられない。いっそ普通のエッセイ漫画で描いた方が良かったのでは、と思う。










