レビュー著者: 漫画よしあし
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昭和元禄落語心中 の感想と評価(良いところ、悪いところ)
昭和元禄落語心中
著者: 雲田はるこ
連載: ITAN
評価: 8.9/10
あらすじ
刑務所を慰問に訪れた大名人・八雲の落語「死神」に魅せられ、出所後にそのまま弟子入りを志願した元チンピラの与太郎。弟子を取らないことで有名な八雲だが、なぜか与太郎の入門を許す。八雲のもとには、彼の亡き親友であり天才落語家だった助六の遺児・小夏が暮らしていた。不器用ながらも落語にまっすぐ向き合う与太郎の成長と、八雲、助六、みよ吉たちが織りなす昭和の落語界を舞台にした深い因縁のドラマ。衰退ゆく伝統芸能の世界で、噺家たちが芸に命を懸け、愛と業に翻弄される姿を圧倒的な筆致で描き出した、愛憎と情熱のヒューマンドラマの金字塔。
良い所
- 落語の知識は全くありませんでしたが、凄まじい熱量の人間ドラマに一気に引き込まれました。八雲と助六の切なすぎる関係性に胸が締め付けられ、読後は涙が止まりません。
- 漫画なのに、まるで本当に寄席で落語を聴いているかのような臨場感に圧倒されました。与太郎の底抜けの明るさと、八雲が抱える深い闇のコントラストが見事で引き込まれます。
- 芸に人生を捧げた人々の、美しくも泥臭い生き様が丁寧に描かれた大傑作です。昭和の移り変わる時代背景と、落語界の衰退に対する焦燥感がリアルで、一気読みしてしまいました。
- アニメが面白かったので原作も買いましたが、キャラクターの表情や仕草から伝わる色気が凄まじいです。愛憎渦巻く複雑な因縁を、最後まで見事に描き切った作者の力量に脱帽です。
- 伝統芸能の世界を舞台にしながら、人間の「業」をこれほどまでに深く描いた作品は他にありません。小夏やみよ吉など、運命に翻弄される女性たちの強さと悲哀にも心を打たれました。
悪い所
- 過去編にあたる八雲と助六の愛憎劇が非常に重くてドロドロしているため、読んでいてかなり精神を削られます。明るく楽しい落語漫画を期待している人にはおすすめできません。
- 時代が行き来したり、登場人物の感情が複雑に絡み合ったりするので、一度読んだだけでは状況を把握しきれない部分がありました。もう少し分かりやすいストーリー構成にしてほしいです。
- みよ吉のキャラクターがヒステリックすぎて、彼女が登場するシーンは少しイライラしてしまいました。物語を動かすキーパーソンなのは分かりますが、どうしても好きになれませんでした。
- 終盤の展開について、小夏の子供の父親が誰なのかなど、あえて明確にしない描写が多くてモヤモヤしました。すべての伏線をスッキリと回収してほしかったので少し不完全燃焼です。
- 落語の演目に関する知識がないと、キャラクターの心情とリンクしている部分の深い意味を理解しきれない気がします。初心者向けにもう少し丁寧な解説や補足があれば良かったです。





