レビュー著者: 漫画よしあし
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君は放課後インソムニア の感想と評価(良いところ、悪いところ)
良い所
- 「夜」の静寂と、そこにしかない特別な空気感の描写が秀逸。オジロ先生の圧倒的な画力で描かれる能登の風景や星空が本当に美しく、読んでいるだけで深呼吸をしたくなるような作品です。
- 不眠という、他人には分かってもらいにくい悩みを共有することで深まっていく二人の距離感が、もどかしくて愛おしい。大きな事件はないけれど、日常の些細な瞬間がこれほどまでにドラマチックに描けるのかと驚きました。
- キャラクターの表情が非常に豊かで、特に伊咲の無邪気な笑顔と、時折見せる繊細な表情のギャップに惹かれます。思春期の揺れ動く感情が、押し付けがましくなく、自然な形で心に染み込んできます。
- アニメや実写映画にもなりましたが、原作の「静けさ」は別格。ページをめくるたびに、夜の心地よい孤独と温かさが交互にやってくるような、非常に質の高い漫画体験ができます。
- ただのラブコメに留まらず、生と死、そして今この瞬間を生きることの意味を静かに問いかけてくる深みがあります。読了後、夜空を見上げたくなるような、美しくも優しい物語です。
悪い所
- 物語のテンポが非常にゆっくりで、劇的な事件や悪役との対立などはほとんどありません。淡々とした日常や青春の機微を好む人には最高ですが、スリリングな展開を期待すると退屈に感じてしまうかもしれません。
- 非常にピュアで美しい世界観ですが、逆にその「綺麗すぎる」青春の描写に、現実との乖離を感じてしまったり、気恥ずかしくなって入り込めないと感じる読者もいるかもしれません。
- 物語が進むにつれて「不眠症」という特別な設定がただの背景になってしまったのが少し残念。初期の、親にも内緒で夜中の学校や街を探索する、あのヒリヒリするような「秘密の冒険感」をずっと味わっていたかった!
- 後半に向けて少しずつシリアスなテーマが顔を出してきますが、その変化に対する心の準備ができていないと、初期の軽やかな日常系としての楽しさが損なわれたように感じてしまうことがあるかもしれません。
- 七尾市の聖地巡礼的な要素が強く、風景描写に多くの紙面が割かれているため、ストーリーの進行を優先して読みたい人にとっては、背景描写が冗長に感じられる瞬間が稀にあるかもしれません。



