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努力・根性漫画おすすめ15選|才能がなくても頂点を掴む長編

編集: 漫画よしあし
公開日:更新日:

主人公が最初から強い物語は気持ちよく読めますが、読み終えたあとに残るものは案外少ないものです。ここに集めたのは、才能を持たないまま走り出した人たちの話です。

ノートを取り、素振りを重ね、負けた理由を数えなおす。派手さのない積み上げが、何巻もかけてようやく形になります。テニス、サッカー、ボクシング、広告デザイン、異能バトル、格闘技、野球、体操、柔道、相撲、バスケと舞台はばらばらで、年代も昭和から今まで幅があります。それでも、届かない相手を前にした悔しさは同じです。

全15作について、良い点と気になる点、向いている人と向いていない人まで並べました。今の自分の気分に近い一作を選んでみてください。

時間がない人向け結論:おすすめTOP3

  1. 几帳面な優等生が練習内容や対戦相手の癖を書き留め、理詰めで腕を上げていきます。

  2. 足が速いわけでも頭が切れるわけでもない主人公が、走ることだけで周りを動かしていきます。

  3. 本屋で買った教本だけを頼りに部屋でジャブを打ち込み、少しずつ勝ち方を覚えていく前半に引き込まれます。

目次

選び方のポイント

  1. 1. 頭で勝つ主人公か、体で押す主人公か

    同じ努力でも、書き留めて分析する頭の努力と、倒れるまで走る体の努力では読み心地がまるで違います。数字や理屈を積み上げる話が好きならベイビーステップやワールドトリガー、理屈より先に体が動く話ならDAYSやホーリーランド、キャプテンやホイッスル!が合います。新しく加えた6作は体で押す側が中心で、プレイボールやガンバ!Fly high、柔道部物語、火ノ丸相撲、あひるの空は、まず畳やコートで体を痛めつけるところから始まります。オールラウンダー廻だけは少し毛色が違い、相手の動きをその場で真似て組み替える柔らかさが武器になります。自分がどちらの汗に胸を打たれるか。そこを先に決めておくと、外れを引きにくくなります。

  2. 2. 報われるまでの距離で選ぶ

    早めに報われる話と、何十巻ぶんも報われない話があります。史上最強の弟子ケンイチやDAYSは序盤から手応えが返ってくるぶん、読んでいる側の気持ちも上向きます。火ノ丸相撲も早い段階で主人公の強さが示されるため、勢いに乗って読み進められます。反対に左ききのエレンやMAJOR 2ndは、才能の差そのものを見つめ続ける時間が長くなります。あひるの空はさらに遠く、勝てそうだと思わせて突き落とす試合が何度も続きます。柔道部物語やガンバ!Fly high、プレイボールはその中間で、勝ったり負けたりを繰り返しながら少しずつ前に進みます。読む側にもそれなりの体力が要ります。今の自分にどちらを受け止める余裕があるかで決めてみてください。

  3. 3. 完結済みか、連載中かで選ぶ

    終わりまで一息に読みたいなら、ベイビーステップ、DAYS、ホーリーランド、キャプテン、ホイッスル!、オールラウンダー廻、プレイボール、ガンバ!Fly high、柔道部物語、火ノ丸相撲、あひるの空の11作が完結済みです。とくにホーリーランドは無駄な引き伸ばしがなくきれいに幕を下ろしているため、結末まで迷わず読み進められます。柔道部物語と火ノ丸相撲も、最後の一番まできっちり畳まれています。キャプテンとホイッスル!、それにオールラウンダー廻は結末までたどり着けますが、終盤の畳み方が駆け足になるところだけ、先に知っておいてください。プレイボールはチームが戦える顔ぶれになった途中で話が止まるため、その先を自分で想像する覚悟が要ります。左ききのエレン、ワールドトリガー、史上最強の弟子ケンイチ、MAJOR 2ndは続きを待つ形になるため、追いかける時間そのものを楽しみたい人に向きます。

  4. 4. 部活か、仕事場か、路上か

    舞台が学校の部活なら、仲間と積み上げる時間の長さが物語の芯になります。DAYSやMAJOR 2nd、キャプテンやホイッスル!がその形で、今回加えた野球部のプレイボール、体操部のガンバ!Fly high、柔道部の柔道部物語、相撲部の火ノ丸相撲、バスケ部のあひるの空も同じ並びに入ります。社会に出てからの話を読みたいなら左ききのエレン、居場所そのものを自分の手で作る話ならホーリーランドが近いはずです。学校の外に居場所を見つける形ではオールラウンダー廻もあり、こちらは高校生が自分の意思で街の格闘技ジムへ通いはじめます。立っている場所が変われば、しんどさの種類まで変わります。

全15作品の比較表

横にスクロールすると他の項目も見られます

順位作品名ジャンル完結状況評価特徴向いている人
1ベイビーステップベイビーステップスポーツ/青春完結8.8/10几帳面な優等生が練習内容や対戦相手の癖を書き留め、理詰めで腕を上げていきます。感覚ではなく記録と分析で強くなる過程を、一打ずつ追いかけたい人向けです。努力した分だけ結果が返ってくる手応えを味わいたい人、テニスの駆け引きを理屈から知りたい人にも刺さります。
2DAYSDAYS少年漫画/サッカー/スポーツ/青春完結8.4/10足が速いわけでも頭が切れるわけでもない主人公が、走ることだけで周りを動かしていきます。上手くならない時期の泥くささごと、主人公に付き合える人に向きます。チームメイト全員に事情と物語がある群像劇を、高校の部活ものとしてじっくり味わいたい人にもおすすめです。
3ホーリーランドホーリーランド青年漫画/ヒューマンドラマ/不良・ヤンキー/アクション/格闘完結9.3/10本屋で買った教本だけを頼りに部屋でジャブを打ち込み、少しずつ勝ち方を覚えていく前半に引き込まれます。居場所をなくして部屋にこもった時期がある人ほど刺さります。教本だけを頼りに拳を振り続けた少年が、自分の弱さと向き合っていく過程を腰を据えて読みたい人向けの一作。
4左ききのエレン左ききのエレン青年漫画/お仕事/青春/クリエイター完結9.1/10「天才になれなかった全ての人へ」という一文が、平凡さを自覚している読者ほど深く刺さります。才能の差を目の前で見せつけられた経験がある人に、いちばん深く届きます。広告制作の現場で足掻く若手の姿を、天才と凡人の葛藤が交差する群像劇として読み込みたい人にも向きます。
5ワールドトリガーワールドトリガーバトル・アクション/群像劇/SF/サスペンス連載中9.5/10主人公の三雲修は自分が弱いことを言い訳にせず、知恵と交渉だけで格上に食らいつきます。格上に勝つための手順を、一手ずつ組み立てていく戦いが好きなら迷わず選べます。役割分担と連携で勝ち筋を作るチーム戦術や、登場人物それぞれに戦う理由が宿る群像劇を味わいたい人にも向きます。
6史上最強の弟子ケンイチ史上最強の弟子ケンイチバトル/アクション/格闘完結8.8/10いじめられっ子だった少年が、達人だらけの道場で血の滲む修行に耐えながら強くなっていきます。才能がないと言い切られた少年が修行だけで強くなる王道を、素直に楽しみたい人にぴったりです。厳しくも弟子を思う師匠たちとの関わりや、実在する格闘技の理屈を知りながら戦いを追いたい人にも合います。
7MAJOR 2ndMAJOR 2ndスポーツ漫画/少年漫画/学園連載中8.2/10才能に恵まれない大吾がどう努力すれば道が開けるか、チームをどう引っ張ればいいかが丁寧に描かれます。伝説の親を持つ子どもの息苦しさに、覚えのある人に向く一作です。一度逃げ出した主人公が捕手として仲間を束ねていく過程や、合同チームや女子選手といった今の野球事情を含む設定を楽しみたい人にも合います。
8キャプテンキャプテン少年漫画/野球/スポーツ/青春完結9/10魔球も超人めいたプレーも出てこず、どこにでもいる中学生が泥だらけで練習を重ねるだけの話です。誰も見ていない場所で積んだ練習が、周りの見る目を変えていく過程を追いたい人に向きます。主将が代替わりしながら自分なりの引っ張り方を探す中学野球の群像も読みごたえがあります。
9ホイッスル!ホイッスル!少年漫画/サッカー/スポーツ/青春完結8.4/10背が低いというだけで練習にも入れてもらえなかった少年が、ひとりでボールを追い続けます。実は才能があったという展開に逃げない物語を読みたい人に向きます。体格やうまさの差で弾かれた覚えがある人、思春期の焦りや意地まで拾う部活の群像劇をじっくり味わいたい人にも合います。
10オールラウンダー廻オールラウンダー廻青年漫画/スポーツ漫画/格闘漫画完結8.4/10追い詰められた場面で主人公が頼るのは、得意技ではなく習ったばかりでまだ試していない動きです。地味な稽古が試合の一瞬で形になる瞬間を、汗と息づかいごと追いたい人に向きます。打撃と投げと関節技が入れ替わる総合格闘技の駆け引きを理屈から知りたい人にも刺さります。将来が見えないまま何かを始めた覚えがある人にも重なるはずです。
11プレイボールプレイボールスポーツ漫画/少年漫画/青春学園完結8.8/10大差で終わった試合なのに、出せるものを全部出し切った手応えだけが残る描き方がすがすがしいです。ひとりの熱が周りへ移っていく過程を、泥だらけの反復ごと見届けたい人に向きます。魔球も天才も出てこない野球を、勝つための知恵と反復だけで追いたい人にも合います。昭和の中学・高校野球の空気が好きならなおさら刺さるはずです。
12ガンバ!Fly highガンバ!Fly highスポーツ漫画/少年漫画/体操漫画完結8.8/10原作者が金メダリストだけあって技の描き方に嘘がなく、体操の知識ゼロで読み始めた自分でも置いていかれませんでした。積んだ練習が点数という形ではっきり返ってくる採点競技の話を読みたい人に向きます。鉄棒がしなり床にバネが入っているという前提から教えてくれるので、体操を知らないまま入っても置いていかれません。読み終えたあとに中継を見る目が変わる体験を求める人にもおすすめです。
13柔道部物語柔道部物語青年漫画/スポーツ漫画/柔道/学園・部活コメディ完結9.3/10初心者が駆け上がる話なのに、強くなったと思った次の試合であっさり負ける危うさまで描きます。上達が一直線に進まない部活の三年間を、笑いごと味わいたい人に向きます。騙されて入った部に意地だけを頼りに残る出だしに覚えがある人にも刺さります。癖の強い濃い絵柄と、腹が痛くなるまで笑わせる部室のバカ騒ぎが好みなら迷わず選べます。
14火ノ丸相撲火ノ丸相撲スポーツ(相撲)/少年漫画/学園・部活完結8.6/10全国にはまるで通用しないと突きつけられて絶望する場面でも、弱点をそのまま伸びしろとして捉え直す前向きさに背中を押されます。友情も努力も勝利も照れずにやりきる王道をまっすぐ浴びたい人に向きます。相撲のルールを知らなくても取組の場面で勝手に力が入るので、競技の予備知識は要りません。泥くさい戦いのあとにさわやかな後味が残る読み心地を求める人にも合います。
15あひるの空あひるの空スポーツ(バスケットボール)/少年マンガ/学園完結8.4/10期待も信頼もされていなかった連中が、泥臭く前を向いてもう一度コートに立つ姿には目頭が熱くなります。勝ち上がる保証のない場所から這い上がる姿を、長い時間をかけて見届けたい人に向きます。部活をやった人なら誰でも思い当たる葛藤が細かく書き込まれているので、当時の記憶ごと揺さぶられたい人にも合います。ふざけ倒すのに中身は人間ドラマという振れ幅を楽しめる人にもおすすめです。
1

ベイビーステップ

完結

几帳面な高校生が論理的思考でテニスの頂点を目指す!圧倒的リアリティのスポーツ漫画!

この特集で選んだ理由

凡人の逆転を「気合い」の一語で済ませない点から、この15作の入り口に置きました。勝てなかった理由を言葉にして次に持ち越す姿勢は、競技に縁のない読者でもそのまま真似できます。

ベイビーステップ
作者
勝木光
掲載誌
週刊少年マガジン
ジャンル
スポーツ/青春
完結
完結
評価
8.8/10

良い点

几帳面な優等生が練習内容や対戦相手の癖を書き留め、理詰めで腕を上げていきます。作者がテニス経験者だけあって描写に無理がなく、静止画なのに動いて見える作画も見応え十分。プロになってからの停滞期を踏ん張り、それがゆっくり実っていく描き方に胸が熱くなります。

気になる点

連載が長かったぶん中盤の進みは遅く、読み切るのに時間がかかります。試合の戦術描写が細かすぎてついていけない場面もあり、未経験者は流し読みになりがちです。最終回が世界ツアーのデビュー戦の途中で幕を下ろすところも、消化不良が残る部分になります。

こんな人におすすめ

感覚ではなく記録と分析で強くなる過程を、一打ずつ追いかけたい人向けです。努力した分だけ結果が返ってくる手応えを味わいたい人、テニスの駆け引きを理屈から知りたい人にも刺さります。

こんな人には不向き

緻密な戦術のやりとりを難しく感じてしまう人には重いはずです。派手な必殺技や大逆転を期待する人、最後まできっちり畳まれた結末を求める人にも向きません。

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2

DAYS

完結

走ることしか取り柄のない少年が、泥だらけで名門サッカー部を動かしていく青春譚

この特集で選んだ理由

15作のうちで唯一、主人公に隠れた才能が最後まで用意されない一作です。勝つための武器が走り続けることだけという単純さが、かえってこの特集の芯をいちばんはっきり示してくれます。

DAYS
作者
安田剛士
掲載誌
週刊少年マガジン
ジャンル
少年漫画/サッカー/スポーツ/青春
完結
完結
評価
8.4/10

良い点

足が速いわけでも頭が切れるわけでもない主人公が、走ることだけで周りを動かしていきます。隠れた才能が目覚める展開がないぶん、一歩ずつチームの力になっていく歩みに引き込まれます。試合に入ると実際の会場を見ているような臨場感があり、脇の選手まで事情が描き分けられています。

気になる点

読み進めるほど精神論寄りの言葉が増え、同じ調子が続くと読む速度が落ちます。序盤は前置きが多くてなかなか試合が始まらず、サッカーの話か家族の話か分からなくなる場面もあります。運動の経験がない主人公が根性だけで通用してしまうところを、都合よく感じる人もいます。

こんな人におすすめ

上手くならない時期の泥くささごと、主人公に付き合える人に向きます。チームメイト全員に事情と物語がある群像劇を、高校の部活ものとしてじっくり味わいたい人にもおすすめです。

こんな人には不向き

未経験者が短い期間で試合に出てしまう展開を、ご都合主義だと感じる人には向きません。前置きの人間ドラマが長く、精神論寄りの語り口も続くため、戦術の理屈を求める人には物足りないはずです。

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3

ホーリーランド

完結

居場所をなくした少年が拳ひとつで夜の街に立つ、弱さと痛みのストリートファイト

この特集で選んだ理由

この15作でただひとつ、勝つことより自分が自分でいられる場所を守るために鍛える物語です。順位も大会もない路上が舞台のため、努力の見返りが記録ではなく居場所として返ってきます。

ホーリーランド
作者
森恒二
掲載誌
ヤングアニマル
ジャンル
青年漫画/ヒューマンドラマ/不良・ヤンキー/アクション/格闘
完結
完結
評価
9.3/10

良い点

本屋で買った教本だけを頼りに部屋でジャブを打ち込み、少しずつ勝ち方を覚えていく前半に引き込まれます。どこをどう打てば効くのかを細かく説明してくれる理屈っぽさが逆に生々しく、殴り合いの場面が張りつめます。拳で押し通す話に見えて、描かれているのは人の心の弱さのほうです。

気になる点

主人公が強くなりすぎたあたりから危なっかしさが消え、前半ほどの引きがなくなります。女性キャラの描き方や、不良を少しかっこよく見せる書き方には、今読むと古さを感じます。主人公も街の空気も暗く、殴って片をつける展開が続くため、読みながら気持ちが沈んでいきます。

こんな人におすすめ

居場所をなくして部屋にこもった時期がある人ほど刺さります。教本だけを頼りに拳を振り続けた少年が、自分の弱さと向き合っていく過程を腰を据えて読みたい人向けの一作。

こんな人には不向き

殴り合いの描写そのものが苦手な人には勧めにくい一作です。沈んだ空気が長く続くため明るい読み心地を求める人、主人公が強くなりきったあとの落ち着きを物足りなく感じる人にも向きません。

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4

左ききのエレン

完結

天才になれなかった全ての人へ。凡才と天才の葛藤を描く熱きクリエイター群像劇!

この特集で選んだ理由

唯一、部活でも試合でもない仕事の現場を舞台にしています。努力すれば天才に追いつけるとは限らない現実まで書くため、ほかの14作より苦い読後感が残ります。

左ききのエレン
作者
かっぴー/nifuni
掲載誌
少年ジャンプ+
ジャンル
青年漫画/お仕事/青春/クリエイター
完結
完結
評価
9.1/10

良い点

「天才になれなかった全ての人へ」という一文が、平凡さを自覚している読者ほど深く刺さります。広告代理店の制作現場が細かく描かれ、プレゼンの熱や現場の緊迫感がそのまま伝わってきます。才能の残酷さから目をそらさないぶん、光一の小さな一歩が尊く感じられます。

気になる点

シビアな現実と高い熱量に、読んでいて胃が痛くなってきます。登場人物が全員プライド高く、傲慢な言動が目立つため感情移入しにくい場面もあります。一つのプロジェクトが終わるまでが長く、回想が冗長に思える箇所も残ります。

こんな人におすすめ

才能の差を目の前で見せつけられた経験がある人に、いちばん深く届きます。広告制作の現場で足掻く若手の姿を、天才と凡人の葛藤が交差する群像劇として読み込みたい人にも向きます。

こんな人には不向き

仕事の挫折が思い出されやすい人には、読むのがしんどくなります。登場人物のプライドの高い言動に拒否反応が出る人、一つの案件に長く尺を取るゆったりした構成が苦手な人にも向きません。

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5

ワールドトリガー

最弱の主人公が知略とチームワークで這い上がる!極限の集団脳バトルファンタジー!

この特集で選んだ理由

才能や身体の差がそのまま数値で示される世界で、最弱の主人公が理屈だけで這い上がります。スポーツものが多いこの特集のなかで、努力の行き先を強くなることではなく勝つ手順を作ることに置いています。

ワールドトリガー
作者
葦原大介
掲載誌
ジャンプスクエア/週刊少年ジャンプ
ジャンル
バトル・アクション/群像劇/SF/サスペンス
完結
連載中
評価
9.5/10

良い点

主人公の三雲修は自分が弱いことを言い訳にせず、知恵と交渉だけで格上に食らいつきます。トリオン量や武器の相性を計算し尽くした戦い方には根性論も奇跡もなく、理屈で有利を取っていく組み立てが読ませます。隊員一人ひとりに違う戦術と事情が用意されていて、モブと呼べる人物がいません。

気になる点

遠征選抜試験だけで現実の時間が4年以上かかるほど進みが遅く、じれったさがあります。密室のテストやシミュレーションが続き、初期のように動き回る戦闘を待つ人には物足りません。登場人物が100人近くいて相関を思い出せなくなるうえ、戦術解説の文字量も多いため、読むのに気合いがいります。

こんな人におすすめ

格上に勝つための手順を、一手ずつ組み立てていく戦いが好きなら迷わず選べます。役割分担と連携で勝ち筋を作るチーム戦術や、登場人物それぞれに戦う理由が宿る群像劇を味わいたい人にも向きます。

こんな人には不向き

勢いのあるアクションをテンポよく読みたい人には、戦術解説の文字量が壁になります。登場人物の相関を覚える負担も大きく、命の危険がひりつく緊張感をバトルに求める人には物足りません。

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6

史上最強の弟子ケンイチ

完結

才能ゼロの少年が達人だらけの道場で地獄の修行に挑む、王道の格闘成長譚!

この特集で選んだ理由

師匠たちから才能がないと面と向かって言われた主人公が、それでも道場に通い続ける話です。15作のうちで努力の分量がいちばん極端に振り切れていて、笑いを挟みながら地獄の修行を見せてくれます。

史上最強の弟子ケンイチ
作者
松江名俊
掲載誌
週刊少年サンデー
ジャンル
バトル/アクション/格闘
完結
完結
評価
8.8/10

良い点

いじめられっ子だった少年が、達人だらけの道場で血の滲む修行に耐えながら強くなっていきます。勝つ理由が教えを信じて守り抜いたことだけという愚直さに、こちらまで胸が熱くなります。空手も中国拳法もムエタイも理屈から説明されるので、やれば強くなれそうだと思わせる説得力があります。

気になる点

中盤から世界規模の陰謀へ話が広がり、街の不良と小競り合いをしていた頃の身近さが薄れます。似た修行と対戦の繰り返しで中だるみを感じる巻もあり、巻数の長さがそのまま負担になります。戦いのたびに女性キャラの服が破れるサービス描写や、駆け足で畳まれた最終回にも不満が残ります。

こんな人におすすめ

才能がないと言い切られた少年が修行だけで強くなる王道を、素直に楽しみたい人にぴったりです。厳しくも弟子を思う師匠たちとの関わりや、実在する格闘技の理屈を知りながら戦いを追いたい人にも合います。

こんな人には不向き

長い巻数と似た修行の繰り返しに中だるみを感じやすい人には向きません。戦いのたびに挟まるお色気描写が気になる人、伏線をきちんと畳んだ結末を求める人にも勧めにくい一作です。

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7

MAJOR 2nd

父の才能を継げなかった二世が捕手として再起し、頭と努力で道をひらく『MAJOR』続編。

この特集で選んだ理由

才能のなさより、父との比較に潰されて一度野球から逃げたところが出発点になります。ゼロから始めるほかの14作と違い、好きなものから離れた子どもが戻ってくるまでを描くため、再挑戦の物語として読めます。

MAJOR 2nd
作者
満田拓也
掲載誌
週刊少年サンデー
ジャンル
スポーツ漫画/少年漫画/学園
完結
連載中
評価
8.2/10

良い点

才能に恵まれない大吾がどう努力すれば道が開けるか、チームをどう引っ張ればいいかが丁寧に描かれます。父の吾郎が壁としてではなく一人の選手として息子に接する姿にも胸を打たれます。中学野球に入ってからは、9人中6人が女子というチームを緻密な作戦で動かす展開に引き込まれます。

気になる点

前半は天才の息子に才能がない展開そのものが辛く、前作の繰り返しに見える箇所もあります。前作主人公の吾郎に比べて大吾は性格も能力も地味で、吾郎への愛着が強い読者ほど序盤になじみにくいはずです。話の流れと関係なく感じるお色気シーンが挟まる点も気になります。

こんな人におすすめ

伝説の親を持つ子どもの息苦しさに、覚えのある人に向く一作です。一度逃げ出した主人公が捕手として仲間を束ねていく過程や、合同チームや女子選手といった今の野球事情を含む設定を楽しみたい人にも合います。

こんな人には不向き

天才の息子に才能がない前半の挫折が辛くて進めにくい人には向きません。少年漫画のお色気演出が気になる人や、前作を読んでいないため世代のつながりを楽しめない人には、少しハードルが高く感じられます。

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8

キャプテン

完結

魔球も天才もいない中学野球部。四代のキャプテンが泥まみれで受け継ぐ、努力だけの物語!

この特集で選んだ理由

努力する姿を誰にも見せないところから始まる物語です。周りの勘違いに応えようと夜の神社でひとり体を作り、その積み上げ方がやがて次の主将へ引き継がれていきます。個人の頑張りがチームの財産へ変わっていく筋道は、ほかの14作では見られません。

キャプテン
作者
ちばあきお
掲載誌
月刊少年ジャンプ
ジャンル
少年漫画/野球/スポーツ/青春
完結
完結
評価
9/10

良い点

魔球も超人めいたプレーも出てこず、どこにでもいる中学生が泥だらけで練習を重ねるだけの話です。谷口が誰にも言わず一人で体をいじめ抜いた時期の描き方には、何度読んでも目が熱くなります。主将が谷口、丸井、イガラシ、近藤と代替わりし、引っ張り方がそのつど変わるため、同じチームなのに代ごとに別の物語が立ち上がります。

気になる点

三代目のあたりから線が荒れてコマのつながりも粗くなり、気持ちの積み上げが飛ばされて別の漫画に変わったような戸惑いが残ります。終盤は大会の途中でふっと話が消え、幕引きらしい幕引きのないまま閉じてしまいます。夜中まで走らせる練習の場面も、今の感覚では息苦しく映るはずです。

こんな人におすすめ

誰も見ていない場所で積んだ練習が、周りの見る目を変えていく過程を追いたい人に向きます。主将が代替わりしながら自分なりの引っ張り方を探す中学野球の群像も読みごたえがあります。

こんな人には不向き

必殺技や大逆転で試合がひっくり返る展開を求める人には物足りません。夜通し走り込ませるような昔の部活のやり方が苦手な人、きれいに畳まれた結末を求める人にも勧めにくい一作です。

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9

ホイッスル!

完結

背が低いだけで三軍だった少年が、諦めない一点で仲間とチームを変えていく王道スポ根

この特集で選んだ理由

立ちはだかるのが才能ではなく、練習量では動かしようのない背丈の差という一作です。上達しないまま好きを手放さない頑固さが、才能を持て余していた同級生の意識のほうを先に変えていきます。15作のなかで、主人公の上達より周りの変化が先に来る順番はここだけです。

ホイッスル!
作者
樋口大輔
掲載誌
週刊少年ジャンプ
ジャンル
少年漫画/サッカー/スポーツ/青春
完結
完結
評価
8.4/10

良い点

背が低いというだけで練習にも入れてもらえなかった少年が、ひとりでボールを追い続けます。実は才能があったという逃げ道を最後まで使わないので、まっすぐな努力だけで周りを変えていく姿に説得力が生まれます。必殺技もライバルの覚醒もなく、絵もきれいなため、今読み返しても古びて見えません。

気になる点

これから盛り上がるというところで話がぷつりと終わり、読み終えて何日たってももやもやが消えません。古巣との再戦を残したまま選抜へ舞台が移るため、いちばん見たかった一戦はおあずけのままです。終盤はキャラクター人気に寄った作りが目につき、主人公のわずかな思い上がりや身勝手さも気になりはじめます。

こんな人におすすめ

実は才能があったという展開に逃げない物語を読みたい人に向きます。体格やうまさの差で弾かれた覚えがある人、思春期の焦りや意地まで拾う部活の群像劇をじっくり味わいたい人にも合います。

こんな人には不向き

一気に強くなる派手な展開を好む人には、地道な自主練の繰り返しが退屈に映ります。結末まできれいに畳まれた話を求める人、競技の描写だけを追いたくて人間関係の比重を重く感じる人にも向きません。

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10

オールラウンダー廻

完結

必殺技のない高校生が、真似と粘り強さだけで全日本の舞台まで駆け上がる修斗漫画。

この特集で選んだ理由

ほかの作品が必殺の一手や決め球を手に入れていくのに対し、この主人公は最後まで決め技を持たないまま勝ち方を覚えていきます。稽古で習ったばかりの動きをその場で出せる柔らかさだけが武器になるため、積み上げたものが技ではなく引き出しの数として返ってきます。

オールラウンダー廻
作者
遠藤浩輝
掲載誌
イブニング
ジャンル
青年漫画/スポーツ漫画/格闘漫画
完結
完結
評価
8.4/10

良い点

追い詰められた場面で主人公が頼るのは、得意技ではなく習ったばかりでまだ試していない動きです。戦い方にそのまま人柄が出る描き分けも効いていて、時代遅れと言われる一芸に賭けて散る相手にまで筋が通っています。肉体の動きにも筋肉の見え方にもひっかかりがなく、コマからコマへ視線が自然に流れていきます。読んでいるうちに、自分も道場の扉を叩きたくなりました。

気になる点

肝心のライバルが本編になかなか出てこないまま話が進むので、どこへ向かっているのかつかめません。終盤で駆け足に畳まれる運びもあり、同門の仲間は途中から出番を減らしてしまいます。まばらな客席まで律儀に描くせいで、試合の温度が上がりきらない場面も残ります。強くなっても華が出てこない主人公なので、格好よさを求めると気持ちが揺らぎます。

こんな人におすすめ

地味な稽古が試合の一瞬で形になる瞬間を、汗と息づかいごと追いたい人に向きます。打撃と投げと関節技が入れ替わる総合格闘技の駆け引きを理屈から知りたい人にも刺さります。将来が見えないまま何かを始めた覚えがある人にも重なるはずです。

こんな人には不向き

必殺技で一発逆転する戦いを求める人には物足りません。専門用語が説明なしで飛び交うため、格闘技の知識がないと試合の状況を追うだけで疲れます。大一番の決着があっさり畳まれる点も、盛り上がりを期待する人には肩透かしになります。

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11

プレイボール

完結

指の怪我で投げられなくなった少年が、万年初戦負けの高校野球部を泥くさい努力で変えていく青春物語。

この特集で選んだ理由

元に戻らない指を抱えたまま始まる一作です。投げられないなら打つ、走る、頭を使う。体に合わせてやり方のほうを組み替えていく姿は、稽古の量を増やしていく努力とはまた違う形をしています。

プレイボール
作者
ちばあきお
掲載誌
週刊少年ジャンプ
ジャンル
スポーツ漫画/少年漫画/青春学園
完結
完結
評価
8.8/10

良い点

野球への未練を捨てきれない姿を先輩が見抜き、サッカー部から送り出してくれる場面で泣かされました。大差で終わった試合なのに、出せるものを全部出し切った手応えだけが残る描き方がすがすがしいです。遊び半分だった部員が一人ずつ本気になっていく流れも、読みながら前のめりになります。とがった主役も魔球もないのに、生身の人間が紙の上で動いているような手ざわりがあります。

気になる点

ようやく戦える顔ぶれになって、さあここからという段階で話が途切れます。いちばん見たかった先の景色が永遠に来ないとわかっているぶん、読み進めるほど寂しさが増しました。練習メニューを考え、反発する部員を説得しと、主人公ひとりに負担が集まりすぎる構図にも疲れます。格上に手も足も出ないまま終わる試合では、しばらく肩を落としました。

こんな人におすすめ

ひとりの熱が周りへ移っていく過程を、泥だらけの反復ごと見届けたい人に向きます。魔球も天才も出てこない野球を、勝つための知恵と反復だけで追いたい人にも合います。昭和の中学・高校野球の空気が好きならなおさら刺さるはずです。

こんな人には不向き

一試合をじっくり描くぶん話は間延びしがちで、決着まで付き合う根気が要ります。物語が途中で途切れたまま閉じるので、結末まで畳まれた話を求める人には勧めにくい一作です。骨折を病院にも行かず放置する導入など、今の感覚だと引っかかる場面もあります。

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12

ガンバ!Fly high

完結

逆上がりもできない素人が「楽しい体操」を胸に、世界の舞台へ駆け上がる熱血体操漫画。

この特集で選んだ理由

逆上がりもできない少年が口にした金メダルという言葉を、最後まで下ろさない話です。しかも練習の向かう先は、まだ世界に存在しない技を自分の手で作るほうでした。誰かに追いつくために鍛える15作のなかで、進む向きがここだけ違っています。

ガンバ!Fly high
作者
森末慎二/菊田洋之
掲載誌
週刊少年サンデー
ジャンル
スポーツ漫画/少年漫画/体操漫画
完結
完結
評価
8.8/10

良い点

原作者が金メダリストだけあって技の描き方に嘘がなく、体操の知識ゼロで読み始めた自分でも置いていかれませんでした。倒立すらできず、夢を語るたびに笑われていた少年が、遠回りの末に満点の演技へたどり着く流れには拍手を送りたくなります。苦しい練習の先にある楽しい体操という一本の筋も、最後までぶれません。作中の大技が連載の終わったあとに現実の選手の手で成功していると知って驚きました。

気になる点

ひとつの学校に強い選手がそろいすぎで、勝つために必要な駒が都合よく集まってくる作りには苦笑いしました。素人のはずの主人公がすぐに飛び抜けた才能を見せる点も、努力の話として見ると都合がよすぎます。結果が出なければ即廃部という脅し文句で部を追い込む展開も、部活の話としては理不尽に映ります。試合が立て続けに描かれるぶん、途中で少し飽きました。

こんな人におすすめ

積んだ練習が点数という形ではっきり返ってくる採点競技の話を読みたい人に向きます。鉄棒がしなり床にバネが入っているという前提から教えてくれるので、体操を知らないまま入っても置いていかれません。読み終えたあとに中継を見る目が変わる体験を求める人にもおすすめです。

こんな人には不向き

ルールも知らない素人が金メダルを連呼する導入が長いため、出だしの熱に乗れないと辛くなります。描き始めの頃の絵はまだ粗く、最初だけを見て合わないと敬遠してしまう人もいるはずです。競技から離れた恋愛や人情の話に入ると進みが重くなるので、試合だけを追いたい人にも向きません。

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13

柔道部物語

完結

甘い言葉に騙されて柔道部へ入った優等生が、理不尽なしごきの中で背負い投げを武器に全国の頂点へ挑む物語。

この特集で選んだ理由

一度強くなれば勝ち続けるという筋書きを、この15作のなかでいちばん拒んでいる一作です。掴んだはずの手応えが次の試合であっさり崩れる上がり下がりの繰り返しが、実際に何かを続けたときの手応えにいちばん近く見えます。

柔道部物語
作者
小林まこと
掲載誌
週刊ヤングマガジン
ジャンル
青年漫画/スポーツ漫画/柔道/学園・部活コメディ
完結
完結
評価
9.3/10

良い点

初心者が駆け上がる話なのに、強くなったと思った次の試合であっさり負ける危うさまで描きます。だから急成長に嘘くささがなく、勝敗のたびに胃がきゅっとなりました。ほどよく苦しんだ先でちゃんと勝たせてくれるので、読み終わるとカラッと明るい気持ちになれます。合宿から全国の舞台、宿敵との決着まで見せ場もぎっしり詰まっています。

気になる点

絵も投げ技の迫力も文句なしなのに、最後に立ちはだかる強敵の過去や努力がほとんど描かれないのはもったいないです。あれだけの壁役なら、そこに至るまでの日々をもっと読みたかったと感じます。大一番で逃げ腰のまま時間を使って勝ちにいく場面もあり、応援していた分だけ気持ちが冷めました。上級生が一年の頭を好きな物で殴ってよい日といった慣習も、笑い話として受け取るには今はもう厳しいです。

こんな人におすすめ

上達が一直線に進まない部活の三年間を、笑いごと味わいたい人に向きます。騙されて入った部に意地だけを頼りに残る出だしに覚えがある人にも刺さります。癖の強い濃い絵柄と、腹が痛くなるまで笑わせる部室のバカ騒ぎが好みなら迷わず選べます。

こんな人には不向き

汗と根性で押し切る濃すぎる男くささが全編に満ちているため、そこに乗れないと最後まで置いていかれます。うさぎ跳びや丸刈りの強制など、今なら問題になりそうなやり取りも次々出てきます。時代物として割り切れない人には息苦しく感じられるはずです。

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14

火ノ丸相撲

完結

体の小さな少年が横綱を目指し、真っ向勝負だけで押し切る王道の相撲漫画。

この特集で選んだ理由

同じく体格の差と向き合う一作ですが、こちらは小回りや搦め手へ逃げません。小さい体のまま正面からぶつかりにいく真っ向勝負を選び、弱点をそのまま伸びしろと言い換えて立ち上がります。ハンデを迂回せずに押し通す頑固さは、この15作のなかでもここだけです。

火ノ丸相撲
作者
川田
掲載誌
週刊少年ジャンプ
ジャンル
スポーツ(相撲)/少年漫画/学園・部活
完結
完結
評価
8.6/10

良い点

同世代の天才との一番が忘れられません。勝負の運び方が巧みで、決着がつくまで目を離せませんでした。全国にはまるで通用しないと突きつけられて絶望する場面でも、弱点をそのまま伸びしろとして捉え直す前向きさに背中を押されます。廃部を止めるために格闘技の王者と異種の勝負を繰り広げる序盤も痛快で、最後の一撃には積み上げてきた技と覚悟が全部乗っています。

気になる点

終盤は話を急いで畳んでいく駆け足ぶりが見えてしまい、寂しさが残ります。楽しみにしていた強豪同士の一番が、思ったより少ないページ数で終わる配分も惜しいところ。理由もなく反則まがいの手を使う描き方には引っかかり、その取組だけは入り込めませんでした。土俵で立ち直る者が次々に出てくる型も、途中から先が読めてきます。

こんな人におすすめ

友情も努力も勝利も照れずにやりきる王道をまっすぐ浴びたい人に向きます。相撲のルールを知らなくても取組の場面で勝手に力が入るので、競技の予備知識は要りません。泥くさい戦いのあとにさわやかな後味が残る読み心地を求める人にも合います。

こんな人には不向き

高校の全国大会編が良すぎるぶん、その後のプロ編を物足りなく感じる人もいます。荒れていた者が相撲で心を入れ替える流れが繰り返されるため、型が見えると先を読めてしまいます。勝負の合間に挟まる色恋の描写が邪魔に思える人にも向きません。

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15

あひるの空

完結

149センチの少年と不良ばかりの部員たちが、負けを重ねながら這い上がる青春バスケ!

この特集で選んだ理由

努力が結果へ変わるまでの距離が、この15作でいちばん長い一作です。勝てそうだと思わせて突き落とす試合が繰り返され、部室の火事や廃部の危機まで重なります。それでも底にいるなら上がるだけだと笑う連中の姿が、報われない時間そのものを読ませてくれます。

あひるの空
作者
日向武史
掲載誌
週刊少年マガジン
ジャンル
スポーツ(バスケットボール)/少年マンガ/学園
完結
完結
評価
8.4/10

良い点

勝てると思わせておいて底まで突き落とす試合運びに、何度も打ちのめされました。期待も信頼もされていなかった連中が、泥臭く前を向いてもう一度コートに立つ姿には目頭が熱くなります。才能が足りずに去っていく部員まで描くので、自分の部活の記憶まで生々しくよみがえりました。背が足りなくても好きだという気持ちだけで食らいつく主人公に、何度も泣かされています。

気になる点

勝てるかどうか分からないから面白いはずなのに、先に結果を明かしてから過程を読ませる作りにはついていけませんでした。部室が焼け、身に覚えのない理由で廃部にされ、頭を下げに行った先でも罵られると、不運が積み重なりすぎて読むほうが消耗します。試合の最中に回想が何話も差し込まれ、走り出した場面がそのたびに止まるのももどかしいです。着想そのものは面白いだけに惜しく感じました。

こんな人におすすめ

勝ち上がる保証のない場所から這い上がる姿を、長い時間をかけて見届けたい人に向きます。部活をやった人なら誰でも思い当たる葛藤が細かく書き込まれているので、当時の記憶ごと揺さぶられたい人にも合います。ふざけ倒すのに中身は人間ドラマという振れ幅を楽しめる人にもおすすめです。

こんな人には不向き

負けが続くため、読み進めるほどずっと地べたを這っていろと言われている気分になります。不運の積み重なり方も部活ものの枠をはみ出していて、競技の外側の重い出来事ばかりが記憶に残ります。試合の最中に回想が何話も挟まる作りが苦手なら、途中で手が止まるはずです。

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目的別のおすすめ

この特集で、読み放題・無料で読める作品

掲載作品のうち、Kindle Unlimitedで1巻が読み放題、または期間限定で1巻が無料になっている作品です。Amazonの表示を毎日確認して更新しています。

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よくある質問

努力系の漫画ばかりだと、読んでいて疲れませんか?+

作品ごとに重さが違います。史上最強の弟子ケンイチは笑いと修行の緩急があって軽く読め、DAYSは試合の熱で押してきます。覚悟が要るのは左ききのエレンとホーリーランドの2作なので、気分に合わせて読む順番を決めると続けやすいはずです。

スポーツに詳しくなくても楽しめますか?+

ルールを知らなくても問題ありません。ベイビーステップは戦術の説明が細かいぶん、読んでいるうちにテニスの駆け引きが分かるようになります。DAYSやMAJOR 2nd、キャプテンやホイッスル!は主人公の気持ちを追うだけで話が通るので、競技の知識は後からついてきます。

完結している作品はどれですか?+

ベイビーステップ、DAYS、ホーリーランド、キャプテン、ホイッスル!、オールラウンダー廻、プレイボール、ガンバ!Fly high、柔道部物語、火ノ丸相撲、あひるの空の11作が完結済みです。左ききのエレン、ワールドトリガー、史上最強の弟子ケンイチ、MAJOR 2ndは連載中の扱いになります。ただしキャプテンとホイッスル!、オールラウンダー廻は終盤が急ぎ足で閉じ、プレイボールは物語の途中で止まったままです。結末まできれいに畳まれた話を求めるなら、ホーリーランドや柔道部物語、火ノ丸相撲のように最後まで畳まれた作品から選ぶと安心です。

時間がないときは、どれから読むのがいいですか?+

テーマの核心を濃く味わえるのはベイビーステップ、左ききのエレン、ワールドトリガーの3作です。分析で勝つ、才能の差に潰されかける、知略で格上を崩すと切り口が重ならないため、3作読めば凡人主人公の描かれ方をひと通り掴めます。

主人公が最後まで才能に目覚めない作品はありますか?+

DAYSがそれに近い形です。走る量だけで周りを動かしていく主人公で、隠れた才能が開花する展開は用意されていません。ホイッスル!も同じで、実は才能があったという逃げ道を最後まで使いません。ベイビーステップも似ていて、素質はあるものの、勝ち上がる手段は記録と分析の積み重ねが中心になります。

子どもに渡しても大丈夫ですか?+

史上最強の弟子ケンイチとMAJOR 2ndには、戦いや試合の合間に挟まるお色気の描写があります。ホーリーランドは殴り合いの描写が続きます。その点が気になるなら、ベイビーステップ、ワールドトリガー、キャプテン、ホイッスル!の4作が渡しやすいはずです。

まとめ

才能のある主人公の物語は、読んでいるあいだだけ気持ちがよくなります。ここに並べた15作が残すのは、もっと地味で、もっと長持ちするものです。ノートを一冊使い切る、素振りを百回増やす。そんな回り道の積み重ねが何巻もかけて形を変えていく過程には、明日の自分にも活かせる確かな手応えがあります。まずは完結済みの11作から、あるいは今の仕事に近い一作から、気になったところに手を伸ばしてみてください。

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