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殺し屋1(イチ) の感想と評価(良いところ、悪いところ)

殺し屋1(イチ)

著者: 山本英夫

連載: 週刊ヤングサンデー

ジャンル: 犯罪心理バイオレンスサスペンス

評価: 8.6/10

あらすじ

新宿・歌舞伎町のマンションでヤクザの組長が消えた。その背後に見え隠れする謎の殺し屋・イチ。いじめられっ子のトラウマを持ちながら、泣き喚きつつターゲットを八つ裂きにするイチと、究極の「痛み」を求めて彼を追うドMヤクザ・垣原。山本英夫が描く、倫理観の崩壊した究極のバイオレンス・ドラマ。暴力の果てにある「必然」とは何かを問いかける衝撃作!

良い所

  • 垣原というキャラクターの狂気的な魅力に、最初から最後まで目が離せませんでした。究極のサディストを求めて悦びに浸る彼の姿は、不快感を超えてある種の神々しさすら感じさせる圧倒的な個性です。
  • 山本英夫先生の描く、皮膚の質感まで伝わる生々しい画力に圧倒されました。グロテスクな描写が多いのですが、それが単なる刺激ではなく、キャラクターの精神的な渇望を表現するために不可欠なのが凄いです。
  • 泣きじゃくりながら人を解体するイチの「歪んだ強さ」と「救いようのない弱さ」の同居に、恐怖と同時に奇妙な切なさを感じました。これほどまでに惨めで、かつ恐ろしい主人公は他に類を見ません。
  • 単なるバイオレンス漫画ではなく、「他者との究極の繋がり」を暴力の中に求める哲学的な側面に唸らされました。ラストの解釈を含め、読んだ後に誰かと語り合いたくなるような中毒性があります。
  • 歌舞伎町という街の湿り気や閉塞感が見事に表現されていて、物語の狂気にリアリティを与えています。ジジイという黒幕の不気味さも際立っており、パズルのピースが埋まっていくような構成も秀逸でした。

悪い所

  • 身体欠損や拷問描写のあまりの凄惨さに、途中で本を閉じてしまうほど気分が悪くなることがありました。耐性がない人には絶対におすすめできない、読む人を選ぶ劇薬のような作品だと思います。
  • 性的嗜好と暴力をこれでもかと結びつけた演出が、生理的にどうしても受け入れられない部分がありました。物語のテーマなのは分かりますが、読んでいて心が汚染されるような不快感が最後まで拭えません。
  • イチがなぜあそこまでジジイの暗示に簡単にかかるのか、その背景の描写に少し納得がいかない部分もありました。彼の弱さを強調するためとはいえ、もう少し自意識の葛藤が見たかった気がします。
  • 垣原が追い求める「必然性」という概念が、物語が抽象的になるにつれて少し理解しづらくなりました。彼らにとっての救いであることは分かりますが、独りよがりな哲学についていけなくなる瞬間も。
  • あまりに救いのない結末と後味の悪さに、読み終えた後はひどい虚脱感に襲われました。エンターテインメントとしての楽しさを期待して読むと、精神的にかなりのダメージを食らうので注意が必要です。

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