レビュー著者: 漫画よしあし
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マーダーライセンス牙 の感想と評価(良いところ、悪いところ)
マーダーライセンス牙
完結著者: 平松伸二
連載: スーパージャンプ
ジャンル: サスペンス・ハードボイルド/バイオレンス・アクション
評価: 7.8/10
あらすじ
昼はジムで汗を流す好青年。だがその正体は、総理大臣の実の息子にして、日本でただ一人「殺人許可証」を持つ忍者・牙だった。外交特権を盾に笑う殺人鬼、国を揺さぶるテロリスト、軍国主義を夢見る黒幕。法の手が届かない悪を、牙は父の指令ひとつで闇に葬っていく。指令が下るのは密閉されたシェルターの中であり、隠し事はしないという証に全員が裸で向き合う異様な密談の場となっている。筋肉を操って総理の主治医である美女に化け、そのそばに張りつく別の顔も持つ。天安門事件など連載当時の生々しい時事を真っ向から物語に取り込み、国家の敵と刃を交える劇画の熱さは今も色あせない。法では裁けぬ巨悪へ突き立てる、国家公認の処刑の牙!
読む前に確認したい相性
向いている人
- 法では裁けない巨悪を、国家公認の処刑人が闇で始末するダークヒーローものを味わいたい人
- 昭和末から平成初めの政治や国際情勢を大胆に取りこんだ物語に、今も通じる風刺を読みとりたい人
- 設定を過剰なまでに盛りこむケレン味や、裸で密談するようなシュールな場面を笑って楽しめる人
向いていない人
- 血なまぐさい残酷な描写が必要以上に多い劇画だと、読み進めるうちにつらくなってしまう人
- 物語は区切りよく終わってほしいので、話の規模がどんどん広がる長期連載には疲れてしまう人
- 複雑な時事問題を善と悪にすっぱり分ける描き方に、どうしても違和感が残ってしまう人
良い感想・レビュー
- 今読んで私が驚いたのは、作中の政治の問題が30年近くたった令和でも片づいていないことです。バトルも敵が急に強くなりすぎるインフレに走らないので、興ざめする場面がほぼありません。
- 中学時代に「勉強になるな」と思いながら、国際情勢の話をむさぼり読んだ。僕の中の天安門事件のイメージは、この漫画で形づくられている。久しぶりに開くと、全ページを覚えているほど頭に焼きついていた。
- 女装で済むはずなのに、わざわざ筋肉を操って女性の体になるという理屈までつけてくる。この過剰なまでに設定を盛りこむやりすぎ感が、たまらなく俺の好みだ。
- 主人公に指令を出す総理大臣も、主人公と同じくらい大事な存在に見えます。それまでの漫画にほとんどいなかった当時の読者が納得できる理想の総理大臣像を、まっすぐ背負った人物でしょう。
- 殺しの依頼のたびに、プールの底の部屋で裸になって打ち合わせる。一見まぬけな儀式についつい笑ってしまうが、隠し事をしないという妙な誠実さも伝わってくる。古いのに今に通じる風刺がこもっているのもいい。
悪い感想・レビュー
- 兄弟子との対決あたりまでは面白いのに、先へ進むほどつじつま合わせで主人公が弱くなっていくのが残念です。人質を取られるたびに自ら乗りこんで捕まる総理にも、今読むと首をかしげてしまいます。
- 宿敵一家との戦いが、親、息子、脳だけで生きていた息子と続くのはさすがに長い。話の風呂敷を世界規模まで広げすぎて、俺の目には収拾がついていないように映る。息子を倒した時点で終えてほしかった。
- 涼しげな美形を主役にすえた劇画で、読み味にはある種の爽快感があります。けれど残酷な場面が必要以上にえぐいのは確かです。私なら、誰にでも勧められる漫画とは言えません。
- 込み入った時事問題を無理に善と悪に割り切る作りが、僕にはどうしても引っかかる。天安門事件のように今では見方が変わった題材もあり、こんなやり方で外交がうまくいくのかと疑問に思う場面もある。
- 女性の体の柔らかさは脂肪のおかげで、筋肉を操っても作れるはずがありません。山ほどツッコミを入れたくなる変身の理屈です。しかも私が見るかぎり、主人公は女性の姿でいる時間のほうが長いのです。


