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悪を以て悪を制す!10巻以上ある『ダークヒーロー・ピカレスク漫画』おすすめ14選

編集: 漫画よしあし
公開日:更新日:

悪いやつを、もっと悪いやり方で叩き潰す。そんな物語には、正しさだけでは片づかない後ろ暗い気持ちよさがあります。この特集では、主人公自身が法を破り、暴力や詐欺に手を染めながら悪に立ち向かうダークヒーロー漫画と、悪党としてのし上がっていくピカレスク漫画を、10巻以上ある作品から14作選びました。

正義と悪の境目で迷う話より一歩踏み込み、主人公がはっきりと「悪を実行する側」に回る作品ばかりです。痛快に読めるものから救いのないものまで幅があるので、比較表と各作品の気になる点もあわせて確かめてください。

時間がない人向け結論:おすすめTOP3

  1. 怨み屋は自分ではほとんど手を下さず、周りの人間の欲や思い込みを突いて標的を自滅させるやり口が頭脳的です。

  2. 中卒でつまずいた男が騙され、巻き上げられながら、法の抜け道を突く悪知恵を一つずつ覚えていきます。

  3. 東大卒の二人が暴力だけを信じ、肉親すら利用して頂点を目指す展開は、すさまじいとしか言いようがない熱量に満ちています。

目次

選び方のポイント

  1. 1. 「悪を裁く側」か「悪として成り上がる側」かで選ぶ

    同じ悪でも、向きは大きく二つに分かれます。『怨み屋本舗』や『ブラック・エンジェルズ』のように法で裁けない外道を闇で始末する作品は、ダークヒーローものらしい痛快さが前に出ます。一方で『極悪がんぼ』『野望の王国』『JUMBO MAX』は、主人公自身が悪党として上へのし上がっていく過程そのものを描いています。スカッとしたいなら前者、人が堕ちていく姿を追いたいなら後者から選ぶと外れにくくなります。

  2. 2. 手の汚し方は暴力か、頭脳か

    腕ずくで片をつけるのは『野望の王国』『軍鶏』『MURCIÉLAGO』『trash.』など。血や拷問の描写がかなり強いので、苦手な人は注意が必要です。詐欺や情報戦、人の欲を突くやり口を読みたいなら『クロサギ』『クロコーチ』『怨み屋本舗』が向いています。同じ「悪を以て悪を制す」でも、読み味はまるで違います。

  3. 3. 後味の苦さをどこまで受け止められるか

    この特集の作品は、勧善懲悪ですっきり終わるものばかりではありません。『軍鶏』や『EVOL』のようにカタルシスをほとんど与えない作品もあれば、『クロサギ』や『マーダーライセンス牙』のように一話ごとに決着がつく作品もあります。気持ちに余裕がないときは、区切りのよい作品から手に取るのがおすすめです。

全14作品の比較表

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順位作品名ジャンル完結状況評価特徴向いている人
1怨み屋本舗怨み屋本舗青年漫画/復讐劇/クライム・サスペンス/ピカレスクロマン完結7.8/10怨み屋は自分ではほとんど手を下さず、周りの人間の欲や思い込みを突いて標的を自滅させるやり口が頭脳的です。法では裁けない相手がきっちり報いを受けるまでを、一話完結のテンポで見届けたい人
2極悪がんぼ極悪がんぼ青年漫画/ビジネス/アウトロー/サスペンス完結7.8/10中卒でつまずいた男が騙され、巻き上げられながら、法の抜け道を突く悪知恵を一つずつ覚えていきます。騙された男が裏社会でのし上がっていく筋書きを、後味の悪さごと味わいたい人
3野望の王国野望の王国青年漫画/バイオレンス/劇画/ピカレスクロマン連載中8.5/10東大卒の二人が暴力だけを信じ、肉親すら利用して頂点を目指す展開は、すさまじいとしか言いようがない熱量に満ちています。理屈は脇に置いて、非情な暴力の裏にある血の通った人間ドラマまで浴びるように読みたい人
4JUMBO MAX~ハイパーED薬密造人~JUMBO MAX~ハイパーED薬密造人~青年漫画/ピカレスク・ロマン/サスペンス連載中8.8/10冴えない53歳の町の薬剤師が、自らの調合技術を武器に裏社会のヤクザを出し抜いていく姿にゾクゾクさせられます。冴えない中年男が技術と頭脳で裏社会を渡っていく緊張感を、じっくり追いかけたい人
5無限の住人無限の住人復讐/時代劇/アクション/ダークファンタジー完結8.8/10復讐を誓う少女と不死の侍の旅は、グロいだけではない骨太なストーリーへと深化していきます。手を汚す復讐の是非まで含めて、重厚な群像劇と時代劇バトルにどっぷり浸りたい人
6MURCIÉLAGO -ムルシエラゴ-MURCIÉLAGO -ムルシエラゴ-ダークヒーロー/バイオレンス/百合連載中7.5/10「悪を斃すのに正義は要らない」と言い切る元死刑囚が、法で裁けない猟奇犯を血祭りにあげていく姿は、ダークヒーローらしい振り切れっぷりで圧倒してくれます。凶悪犯を叩き潰すダークヒーロー的な爽快感を、エロもグロも込みで楽しめる人
7軍鶏軍鶏ダークピカレスク/格闘連載中7.9/10少年院で生き延びるために覚えた空手が、いつしか歯向かう者を潰す牙へ変わっていく過程には、背すじがぞくりとします。悪の側へ堕ちていく男の救いなき生き様を、目をそらさず最後まで見届けたい人
8EVOL (イーヴォー)EVOL (イーヴォー)ダークヒーロー/SF完結8.5/10いじめや虐待で世界に絶望した少年少女が悪を名乗り、偽善のヒーロー社会に反逆していくTHE BOYS的なアンチヒーローものを、日本の漫画らしくひとひねりしています。正義やヒーローの欺瞞を暴き、弱者が世界に反逆していく切実な物語に共感したい人
9クロコーチクロコーチ警察・社会派/ピカレスク・ノワール/クライム・サスペンス完結8.5/10そのグレーな正義感の描き方がうまい作品です。裏切りと寝返りが続く先の読めない情報戦に、腰を据えてのめり込みたい人
10trash.trash.青年漫画/バイオレンス/アウトロー/アクション完結7.2/10歌舞伎町の女子高生コンビが改造拳銃と斧で最低のクズを叩き潰す、掃除みたいな爽快感がクセになります。可愛い絵柄とえげつないバイオレンスが同居する落差を面白がれる人
11ギフト±ギフト±青年漫画/ミステリー/裏社会・アングラ/サスペンス完結8.2/10凶悪犯を生きたまま解体し、移植を待つ患者に臓器を届ける女子高生という発想が衝撃的で、グロさを絵の綺麗さが救っているぶん逆に生々しく感じます。命の値段を正面から問う話を、読み終えたあと考え込む時間ごと味わいたい人
12クロサギクロサギドラマ/法律/経済/サスペンス完結8.5/10家族を詐欺で失った青年が、詐欺師だけを狙って完膚なきまでに騙し返すカタルシスがたまりません。詐欺師を知略と変装で騙し返すカタルシスを、実在の手口の知識ごと楽しみたい人
13マーダーライセンス牙マーダーライセンス牙サスペンス・ハードボイルド/バイオレンス・アクション完結7.8/10筋肉を操って女性の体になる理屈までつける過剰なまでに設定を盛りこむやりすぎ感や、裸で密談する妙な儀式には、つい笑ってしまいます。法では裁けない巨悪を国家公認の処刑人が闇で始末する物語を味わいたい人
14ブラック・エンジェルズブラック・エンジェルズサスペンス・ハードボイルド/バイオレンス・アクション完結8.2/10気弱な青年が自転車のスポーク1本で外道を葬る仕置き話でありながら、人を殺める罪深さに主人公たち自身が悩む姿まで描かれます。悪人退治の痛快さに加え、人を殺める罪の重さに悩むヒーローの葛藤まで読みたい人
1

怨み屋本舗

完結

法で裁けない悪党を、法外な報酬と引き換えに闇へ葬る復讐代行業の物語!

この特集で選んだ理由

「正義ではなく必要悪」と自ら名乗り、復讐を値札つきの商売として請け負う主人公は、悪で悪を裁く構図をいちばん素直な形で見せてくれるため、特集の入り口に置きました。

怨み屋本舗
作者
栗原正尚
掲載誌
グランドジャンプ/ビジネスジャンプ
ジャンル
青年漫画/復讐劇/クライム・サスペンス/ピカレスクロマン
完結
完結
評価
7.8/10

良い点

怨み屋は自分ではほとんど手を下さず、周りの人間の欲や思い込みを突いて標的を自滅させるやり口が頭脳的です。社会的抹殺と実質的殺害で値段まで違う商売の仕組みも面白く、序盤の伏線を何年も先で回収してくる構成には、読み返すたびに驚かされます。

気になる点

依頼人を救うどころか奈落へ落として終わる回や、巻き込んだ無関係の人への埋め合わせがない回があり、後味はかなり苦めです。劇画調の絵柄や、協力者の不潔さをしつこく見せる描写も好みが分かれます。

こんな人におすすめ

法では裁けない相手がきっちり報いを受けるまでを、一話完結のテンポで見届けたい人

こんな人には不向き

勧善懲悪ですっきり終わる話を好み、依頼人まで痛い目に遭う苦い結末が苦手な人

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2

極悪がんぼ

完結

借金二千万を背負った中卒の男が、法の抜け道を武器に裏社会をのし上がっていく物語

この特集で選んだ理由

正義の味方の顔をまったく持たない主人公が、悪党の世界で悪党として成り上がっていくため、この特集の「ピカレスク」側をもっとも純度高く担う一作です。

極悪がんぼ
作者
田島隆/東風孝広
掲載誌
イブニング
ジャンル
青年漫画/ビジネス/アウトロー/サスペンス
完結
完結
評価
7.8/10

良い点

中卒でつまずいた男が騙され、巻き上げられながら、法の抜け道を突く悪知恵を一つずつ覚えていきます。カード偽造の手順まで細かく見せる読み応えがあり、鴨にされ続けた序盤を耐えたぶん、政官財を握って一本立ちする場面の爽快さは格別です。

気になる点

悪知恵の働く連中が勝ち続ける序盤は胸糞の悪い展開が並び、救いのない回では読む手が重くなります。絵柄や方言の癖も強く、選挙まわりの話に元ネタの本がほぼそのまま使われている点も引っかかります。

こんな人におすすめ

騙された男が裏社会でのし上がっていく筋書きを、後味の悪さごと味わいたい人

こんな人には不向き

主人公も含めて全員が悪党という作りだと、素直に肩入れできず読みづらい人

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3

野望の王国

東大卒の天才二人が暴力だけを信じ、日本制覇へ突き進む昭和バイオレンス劇画の金字塔!

この特集で選んだ理由

兄たちを手にかけて極道組織を乗っ取り、暴力で日本制覇を狙う二人が主役で、リストの中で「悪の側が主役」という振り切り方がいちばん大きい作品です。

野望の王国
作者
雁屋哲/由起賢二
掲載誌
週刊漫画ゴラク
ジャンル
青年漫画/バイオレンス/劇画/ピカレスクロマン
完結
連載中
評価
8.5/10

良い点

東大卒の二人が暴力だけを信じ、肉親すら利用して頂点を目指す展開は、すさまじいとしか言いようがない熱量に満ちています。集中線と過剰な演出が詰まった昭和劇画の濃さに加え、弟を愛しながら最大の敵となる兄との極限のドラマには何度も胸を締め付けられます。

気になる点

人があまりに簡単に殺されすぎるので、リアリティや緻密さを求めると雑さが目につきます。天才という設定の割に解決は毎回手下を使った力押しで、日本制覇を掲げながら川崎の抗争に固執するちぐはぐさもあります。

こんな人におすすめ

理屈は脇に置いて、非情な暴力の裏にある血の通った人間ドラマまで浴びるように読みたい人

こんな人には不向き

度を超えた流血と暴力描写や、力押しの解決ばかりの展開に冷めてしまう人

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4

JUMBO MAX~ハイパーED薬密造人~

ED薬の密造から始まる、冴えない中年の人生逆転劇を描くクライムサスペンス!

この特集で選んだ理由

平凡な中年が自分の技術で違法薬を作り、みずから犯罪へ踏み込んでいく「堕ちていく過程」を丁寧に描いており、成り上がり型ピカレスクの現代版にあたります。

JUMBO MAX~ハイパーED薬密造人~
作者
高橋ツトム
掲載誌
ビッグコミック
ジャンル
青年漫画/ピカレスク・ロマン/サスペンス
完結
連載中
評価
8.8/10

良い点

冴えない53歳の町の薬剤師が、自らの調合技術を武器に裏社会のヤクザを出し抜いていく姿にゾクゾクさせられます。「男としての尊厳を取り戻す」という偏執的でまっすぐな動機が根っこにあるので、犯罪者なのにどこか応援したくなります。高橋ツトムの掠れた筆の劇画タッチも、汚れた犯罪劇によく合っています。

気になる点

拷問やリンチなど凄惨で直接的なバイオレンス描写が多く、読んでいて胃が痛くなる場面があります。一度飲んだだけの薬を完全に再現してしまう展開は少し出来すぎで、関西の抗争あたりからは派閥が増えて関係を追いにくくなります。

こんな人におすすめ

冴えない中年男が技術と頭脳で裏社会を渡っていく緊張感を、じっくり追いかけたい人

こんな人には不向き

裏切り合う悪人ばかりの物語より、感情移入できる善良な人物を求める人

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5

無限の住人

完結

不老不死の侍と復讐に燃える少女が、血みどろの旅の果てに一つの答えへたどり着く時代劇!

この特集で選んだ理由

仇を斬り続ける側に身を置いたまま「相手を殺すことが本当の復讐なのか」を問い続ける作品で、手を汚すことの重さを正面から考えさせる時代劇枠として加えました。

無限の住人
作者
沙村広明
掲載誌
月刊アフタヌーン
ジャンル
復讐/時代劇/アクション/ダークファンタジー
完結
完結
評価
8.8/10

良い点

復讐を誓う少女と不死の侍の旅は、グロいだけではない骨太なストーリーへと深化していきます。信念や欲を抱えた剣士たちがぶつかる群像劇に加え、動きまで伝わる殺陣や奇妙な形の武器の造形も、眺めているだけで満たされます。

気になる点

ヒロインが用心棒に復讐を肩代わりさせながら、毎回「こんなことをして何になる」と自問する堂々巡りに疲れることがあります。拷問や性暴力をにおわせるえぐい描写や、長期連載ゆえの中盤の中だるみも気になるところです。

こんな人におすすめ

手を汚す復讐の是非まで含めて、重厚な群像劇と時代劇バトルにどっぷり浸りたい人

こんな人には不向き

目を背けたくなる残酷描写や、長編ならではの中だるみが気になる人

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6

MURCIÉLAGO -ムルシエラゴ-

715人殺しの処刑人が、法で裁けぬ猟奇犯を血祭りにあげる痛快バイオレンス!

この特集で選んだ理由

国家が殺人鬼を雇って凶悪犯にぶつけるという、まさに「悪を以て悪を制す」を設定そのものにした作品で、百合やギャグまで詰め込んだ異色枠として入れました。

MURCIÉLAGO -ムルシエラゴ-
作者
よしむらかな
掲載誌
ヤングガンガン
ジャンル
ダークヒーロー/バイオレンス/百合
完結
連載中
評価
7.5/10

良い点

「悪を斃すのに正義は要らない」と言い切る元死刑囚が、法で裁けない猟奇犯を血祭りにあげていく姿は、ダークヒーローらしい振り切れっぷりで圧倒してくれます。倫理観の壊れた相棒ひな子との最凶なのに楽しいバディぶりや、残酷な場面の合間に挟まるシュールなギャグにも笑わされます。

気になる点

エロとグロの連打が強烈で、女の子が使い捨てのように酷い目に遭う性的消費に寄った描写には冷めることもあります。巻が進むと似た刺激の繰り返しになり、結局は黒湖の無双で片づくため緊張感も薄れがちです。

こんな人におすすめ

凶悪犯を叩き潰すダークヒーロー的な爽快感を、エロもグロも込みで楽しめる人

こんな人には不向き

過激な表現への耐性が低く、力押しより論理で決着する謎解きを期待する人

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7

軍鶏

親殺しの少年が実戦空手で裏社会へ堕ちていく、救いなきダークピカレスク格闘譚!

この特集で選んだ理由

親殺しから始まり、自分の強さのためだけに闇へ堕ちていく男の話で、リストの中でもっとも救いの薄いダークピカレスクとして選びました。

軍鶏
作者
たなか亜希夫/橋本以蔵
掲載誌
漫画アクション/イブニング
ジャンル
ダークピカレスク/格闘
完結
連載中
評価
7.9/10

良い点

少年院で生き延びるために覚えた空手が、いつしか歯向かう者を潰す牙へ変わっていく過程には、背すじがぞくりとします。繊細なのに暴力的な絵の迫力も忘れがたく、悪の側へ回りきった主人公をなぜか嫌いになれない引力があります。

気になる点

後半になるほど主人公の倫理観の危うさが度を越し、応援する気持ちを保つのが難しくなります。版権トラブルで話がブツ切れになり、方向性を見失ったまま救いのない結末へ向かう流れには虚しさを感じます。

こんな人におすすめ

悪の側へ堕ちていく男の救いなき生き様を、目をそらさず最後まで見届けたい人

こんな人には不向き

積み上げた戦いがきちんと報われるカタルシスある結末を何より大切にしたい人

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8

EVOL (イーヴォー)

完結

絶望した少年たちが世界を滅ぼす力を手に入れる。欺瞞に満ちた社会への衝撃の反逆劇!

この特集で選んだ理由

踏みつけられてきた10代が自ら「悪」を名乗り、ヒーローに牙をむく物語で、若者の反逆を描いたのは掲載作のなかでこれだけです。

EVOL (イーヴォー)
作者
カネコアツシ
掲載誌
月刊コミックビーム
ジャンル
ダークヒーロー/SF
完結
完結
評価
8.5/10

良い点

いじめや虐待で世界に絶望した少年少女が悪を名乗り、偽善のヒーロー社会に反逆していくTHE BOYS的なアンチヒーローものを、日本の漫画らしくひとひねりしています。セリフを削って絵で見せるスタイリッシュな白黒の画面は、映画を一本見ているような臨場感です。

気になる点

序盤の鬱屈した描写がかなりキツく、スカッとする展開はほとんどありません。ページ数の割に話の進みが遅く、少年たちの行動がただの憂さ晴らしに見える場面や、多くを語らない結末にも好みが分かれます。

こんな人におすすめ

正義やヒーローの欺瞞を暴き、弱者が世界に反逆していく切実な物語に共感したい人

こんな人には不向き

社会への怒りを単なる破壊ではなく、建設的な反論や内面の葛藤を通して描いてほしい人

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9

クロコーチ

完結

悪徳警官が警察と政界の闇に挑む、裏切りと情報戦の黒い刑事サスペンス

この特集で選んだ理由

本来は法を守る側の警察官が、自ら汚職に手を染めながら警察と政界の闇に挑むという立場のねじれがあり、「巨悪には巨悪をぶつける」構図をもっとも大人向けに描いた一作です。

クロコーチ
作者
リチャード・ウー/コウノコウジ
掲載誌
週刊漫画ゴラク
ジャンル
警察・社会派/ピカレスク・ノワール/クライム・サスペンス
完結
完結
評価
8.5/10

良い点

賄賂も脅しも法すれすれの手も使う悪徳警官が、それでも巨悪だけは見逃さない。そのグレーな正義感の描き方がうまい作品です。裏の裏の裏をかく情報戦が続き、味方だと思った相手が寝返るたびに背筋が寒くなります。

気になる点

展開が速く、一度読んだだけでは話が飲み込みにくいところがあります。普段は悪党を脅してタカる主人公の不快さが、大物を倒すと帳消しにされる感じや、グロい死体描写、やや急な決着も気になります。

こんな人におすすめ

裏切りと寝返りが続く先の読めない情報戦に、腰を据えてのめり込みたい人

こんな人には不向き

登場人物が多く関係図が複雑に絡む長編だと、頭が追いつかなくなる人

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10

trash.

完結

歌舞伎町の女子高生殺し屋コンビが、外道どもを凄惨に成敗するB級皆殺しバイオレンスアクション!

この特集で選んだ理由

外道を始末する痛快さにとことん全振りしたB級バイオレンスで、リストの中でいちばん頭を空っぽにして読める一作です。

trash.
作者
D.P/山本賢治
掲載誌
ヤングチャンピオン烈
ジャンル
青年漫画/バイオレンス/アウトロー/アクション
完結
完結
評価
7.2/10

良い点

歌舞伎町の女子高生コンビが改造拳銃と斧で最低のクズを叩き潰す、掃除みたいな爽快感がクセになります。ヒロイン二人がまったく弱くないので女性でもスカッとでき、B級映画そのもののノリや武器の作り込みにもしびれます。

気になる点

内臓が飛び出す描写が多く、女の子が性的にいたぶられる描写のきつさに嫌気がさす場面もあります。物語の深みは薄めで、関係のない民間人まで殺される救いのなさや、主要キャラがまとめて退場する駆け足の終盤も惜しいところです。

こんな人におすすめ

可愛い絵柄とえげつないバイオレンスが同居する落差を面白がれる人

こんな人には不向き

内臓が飛び散るグロや性的な残酷描写が少しでも苦手な人

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11

ギフト±

完結

女子高生が凶悪犯を解体し臓器を売る。命の値段を突きつける裏社会サスペンス

この特集で選んだ理由

悪人を裁いたうえで、その命を「臓器」として別の命へ回すという再分配の論理を持ち込み、悪で悪を制することの是非を命の値段から問う唯一の作品です。

ギフト±
作者
ナガテユカ
掲載誌
週刊漫画ゴラク
ジャンル
青年漫画/ミステリー/裏社会・アングラ/サスペンス
完結
完結
評価
8.2/10

良い点

凶悪犯を生きたまま解体し、移植を待つ患者に臓器を届ける女子高生という発想が衝撃的で、グロさを絵の綺麗さが救っているぶん逆に生々しく感じます。マフィアや警察、医療、宗教団体の暗部が複雑に絡み、主人公の生い立ちの秘密も少しずつ明かされるので飽きません。

気になる点

悪人を捕らえて解体する流れが続き、似た話が延々と続くだけに感じる時期があります。話が進むほどスケールがふくらみすぎ、大陸の組織や宗教団体のその後が見えないまま畳まれる結末には消化不良が残ります。

こんな人におすすめ

命の値段を正面から問う話を、読み終えたあと考え込む時間ごと味わいたい人

こんな人には不向き

血や内臓の絵がくり返し続くと、しんどくなってしまう人

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12

クロサギ

完結

家族を失った復讐鬼・黒崎が、詐欺師を専門に騙し返す「黒サギ」となり悪を討つ知略サスペンスだ!

この特集で選んだ理由

拳も刃物も使わず、詐欺という違法な手口で詐欺師を狩る主人公なので、リストの中で「頭脳で手を汚す」ダークヒーローの代表として選びました。

クロサギ
作者
夏原武/黒丸
掲載誌
週刊ヤングサンデー/ビッグコミックスピリッツ
ジャンル
ドラマ/法律/経済/サスペンス
完結
完結
評価
8.5/10

良い点

家族を詐欺で失った青年が、詐欺師だけを狙って完膚なきまでに騙し返すカタルシスがたまりません。取材に基づく実在の手口が暴かれていくので勉強にもなり、仇の情報を宿敵の桂木から買うという歪んだ関係のヒリヒリした緊張も続きます。

気になる点

金融取引やダミー会社の仕組みの説明が多く、解説テキストが多くて難解に感じる回があります。騙されて騙し返して回収するという型の繰り返しや、回収のたびに多額の手数料を取る冷たさにもやもやすることもあります。

こんな人におすすめ

詐欺師を知略と変装で騙し返すカタルシスを、実在の手口の知識ごと楽しみたい人

こんな人には不向き

解説が多めで、同じ型の騙し返しがくり返されると飽きやすい人

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13

マーダーライセンス牙

完結

総理の実子である忍者が殺人許可証を手に、法で裁けない巨悪を闇で処刑するダークヒーロー劇画。

この特集で選んだ理由

総理大臣みずからが殺人許可を与える「国家公認の処刑人」が主役なので、国家が悪を以て悪を制すという、ほかの掲載作にない規模の構図になっています。

マーダーライセンス牙
作者
平松伸二
掲載誌
スーパージャンプ
ジャンル
サスペンス・ハードボイルド/バイオレンス・アクション
完結
完結
評価
7.8/10

良い点

総理の実子である忍者が法の届かない巨悪を闇に葬る物語で、今読んでも作中の政治の問題が片づいていないことに驚かされます。筋肉を操って女性の体になる理屈までつける過剰なまでに設定を盛りこむやりすぎ感や、裸で密談する妙な儀式には、つい笑ってしまいます。バトルが極端なインフレに走らないので、興ざめする場面もほとんどありません。

気になる点

先へ進むほどつじつま合わせで主人公が弱くなっていくのが惜しく、宿敵一家との戦いは世界規模に広がって収拾がつかなくなります。複雑な時事問題を善と悪に割り切る作りも引っかかり、残酷な場面が必要以上にえぐいのも確かです。

こんな人におすすめ

法では裁けない巨悪を国家公認の処刑人が闇で始末する物語を味わいたい人

こんな人には不向き

複雑な時事問題を善と悪にすっぱり分ける描き方に違和感が残る人

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14

ブラック・エンジェルズ

完結

自転車のスポークを武器に、法で裁けない外道を葬る青年の、容赦なき闇の処刑人ダークヒーロー譚。

この特集で選んだ理由

「天誅じゃない、正義でもない」と自覚しながら手を汚し続ける仕置き人を描いており、同じ作者の『マーダーライセンス牙』と比べても、個人の罪の意識にぐっと寄っています。

ブラック・エンジェルズ
作者
平松伸二
掲載誌
週刊少年ジャンプ
ジャンル
サスペンス・ハードボイルド/バイオレンス・アクション
完結
完結
評価
8.2/10

良い点

気弱な青年が自転車のスポーク1本で外道を葬る仕置き話でありながら、人を殺める罪深さに主人公たち自身が悩む姿まで描かれます。正反対の相棒と組んでからは連続ドラマの厚みが加わり、死んだ仲間が二度と戻らない厳しさが緊張を保ちます。

気になる点

富士山の噴火で関東が壊滅したあたりから超能力バトルへ移り、世界観がまるごと別物に変わる急展開についていけないことがあります。少年誌とは思えない薬物や暴行の描写も続き、悲劇が起きる前に止めてほしかったというもどかしさが消えません。

こんな人におすすめ

悪人退治の痛快さに加え、人を殺める罪の重さに悩むヒーローの葛藤まで読みたい人

こんな人には不向き

悪人退治の物語が超能力バトルへ大きく路線変更する展開についていけない人

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目的別のおすすめ

よくある質問

ダークヒーロー漫画とピカレスク漫画はどう違いますか?+

ダークヒーローは違法な手段を使いながらも悪を討つ側に立つ主人公、ピカレスクは悪党そのものが主人公で、悪事を重ねながらのし上がる物語を指すことが多いです。この特集では両方を扱っており、『怨み屋本舗』や『ブラック・エンジェルズ』は前者、『極悪がんぼ』や『野望の王国』は後者に近い作品です。

「正義と悪の境界線」を描いた漫画とは何が違いますか?+

どちらとも言い切れない主人公の迷いを描く作品に対し、この特集では主人公自身が法を破り、暴力や詐欺を実際に行う側に回る作品を選んでいます。迷うことより、手を汚すことに重心を置いたラインナップです。

完結している作品だけですか?+

完結済みの作品と、まだ完結扱いになっていない作品が混ざっています。まとめて最後まで読みたい場合は、比較表の「完結」欄で確かめてから選ぶと安心です。

グロテスクな描写が苦手でも読める作品はありますか?+

『クロサギ』は詐欺師との騙し合いと頭脳戦が中心なので、ほかの掲載作に比べると流血の場面は控えめです。『極悪がんぼ』も暴力より金と悪知恵の話が主軸ですが、後味の悪い展開は続くため、そこは覚悟しておくと読みやすくなります。

まとめ

14作品に共通するのは、主人公が正しい手段では届かない場所まで踏み込み、自分の手を汚すことを選んでいる点です。悪を討つために悪になるのか、悪そのものとしてのし上がるのか。その違いで、読み味は大きく変わります。痛快さを求めるのか、堕ちていく苦さまで味わいたいのか、いまの気分に合う一冊を開いてみてください。迷ったら、一話ずつ区切りのよい『怨み屋本舗』から入るのが気楽だと思います。

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