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夏子の酒 の感想と評価(良いところ、悪いところ)

夏子の酒

著者: 尾瀬あきら

連載: モーニング

ジャンル: 料理・グルメヒューマンドラマ青年マンガ

評価: 8.5/10

あらすじ

東京の広告代理店でコピーライターとして働いていた佐伯夏子。新潟の実家は造り酒屋で、兄の康男は幻の酒米「龍錦」から日本一の純米吟醸を生もうと走り続けていた。その兄が、わずかな種籾を残して急に逝ってしまう。生まれ持った舌の鋭さに気づいた夏子は、都会の仕事を捨てて実家へ戻り、兄の夢を継ぐと決めた。けれど村には古いしきたりが根を張り、減反や農薬をめぐる争いも待っている。田畑を知らない娘に向けられる視線は冷たく、天気も味方してくれない。それでも泥に足を入れ続け、やがて凍える冬の蔵へ。杜氏や父とぶつかりながら追いかけるのは「お日様のような酒」。米一粒、水一滴に人の生き方がにじむ、まっすぐすぎる酒造り!

読む前に確認したい相性

向いている人

  • 日本酒の知識がまったくなくても、造り方や歴史をいちから学べる物語をじっくり読んでみたい人
  • 一つのものを作り上げるために泥くさく走り回る、汗と衝突だらけの仕事ドラマにぐっとくる人
  • 土地や自然と向き合う暮らしの厳しさを、きれいごと抜きで描いた話として受け止めたい人

向いていない人

  • 昭和のころの価値観がそのまま出てくる場面が苦手で、古い時代の空気を読み流せない人
  • 主人公が周りとぶつかり空回りする展開が長く続くと、もどかしさのほうが勝ってしまう
  • テンポよく話が進む作品を好み、じっくり描かれる農業と酒造りの過程を長く感じてしまう人

良い感想・レビュー

  • 日本酒はろくに飲めないし知識もなかったのに、本醸造や吟醸の話がすっと頭に入ってきた。お酒の授業を受けている気分で読めて、読み終えたころには新潟の酒を探していた。
  • 毎日働いていて手応えがあるか、と自分に問い直してしまった。村のしきたりとも天気とも戦う農業の描き方に、苦労の先にある歓喜がちゃんと置かれていて、読んだあと元気が出た。
  • 酒造りがここまで身を削る仕事だとは知らなかった。命を懸けて仕込む杜氏の姿を見てから、酒席での一杯の重みが自分の中で変わった。飲み方まであらためて考え直したくなる。
  • 日本酒を学ぶぞと意気込んで開いたのに、途中から物語そのものにのめり込んだ。酒を軸に描かれる人と土地の手ざわりが忘れられず、読み終えてから続編はないのかと探した。
  • 名作と聞いてはいたが、まさか終始泣きながら読むことになるとは思わなかった。まっすぐな人たちの熱にやられっぱなしで、もっと早く手に取ればよかったと今も悔やんでいる。

悪い感想・レビュー

  • 父親はすぐ怒鳴るし、近所の男が主人公に体つきを聞いてくる場面まである。連載当時は当たり前だったのだろうが、昭和の空気の生々しさは今読むとしんどい。
  • 農薬は悪、有機は正しいという前提で話が進むところには引っかかった。今の感覚だとそこまで単純ではないはずで、善悪をはっきり分けすぎる構図には乗り切れない。
  • 主人公が自分の思いだけを押し通して周りを振り回す時期があり、正直やきもきした。上に立つ人としての危なっかしさが目について、応援したいのに手を離したくなる。
  • 理想だけでは人は動かないという当たり前が、主人公の望みとぶつかり続ける。どちらの言い分もおかしくないと思えるので、噛み合わないもどかしさを抱えたまま読むことになった。
  • 亡くなった兄の妻が家に残り、家のことを一手に引き受けている構図はさすがに気になった。都合よく置かれた存在に見えてしまい、そこだけは素直に読めなかった。

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