レビュー著者: 漫画よしあし
最終更新日:
吼えろペン の感想と評価(良いところ、悪いところ)
吼えろペン
著者: 島本和彦
連載: 月刊サンデーGX
ジャンル: 職業・お仕事ドラマ/コメディ・ギャグ/青年マンガ
評価: 8.3/10
あらすじ
レンタルビデオ店の2階にある仕事場で、熱血漫画家・炎尾燃は今日も真っ白な原稿と締め切りを前に吼えている。アイデアは出ない、編集者は無理を言う、ライバル作家は張り合ってくる。それでも燃は屁理屈と情熱だけを武器に、アシスタントたちを巻き込んで修羅場へ突っ込んでいく。熱狂的なファンによる乗っ取り騒ぎ、新人賞の審査、編集部同士の引き抜き合戦まで、漫画業界の生々しい裏側が次々と押し寄せる。どこまでが実話なのか分からない騒動に、笑いながらいつのまにか胸が熱くなる。「駄作で金をもらってこそ本当のプロ」と言い切る燃の叫びは、むちゃくちゃなのに妙に説得力がある。ペン一本で締め切りと戦い続ける男の、暑苦しくてまっすぐな漫画道!
読む前に確認したい相性
向いている人
- 漫画家の締め切り前の修羅場や、編集部とのかけ引きといった業界の裏側をのぞいてみたい人
- 熱血と真顔のボケが入り混じったギャグで、笑いながらも胸が熱くなる漫画を探している人
- どこまでが実話か分からない作者の体験ネタや、実在の作家をもじったパロディを楽しめる人
向いていない人
- 昭和っぽい劇画タッチで暑苦しいくらいの熱血ノリが全編続くと、読んでいて疲れてしまう人
- 1ページに詰め込まれた文字や絵の多さが苦手で、すっきりした画面でさらっと読みたい人
- 物語がきれいにまとまった結末や、最後まで巻ごとの出来にムラのない、安定した展開を求める人
良い感想・レビュー
- 熱狂的なファンが愛をこじらせて主人公の座を乗っ取ろうとする話は、ファン心理の怖さがよく出ていました。うまく操っているつもりが、逆にアシスタントの手のひらで転がされる先生の姿にも笑えます。
- 漫画家の観察力をまず一般人相手に発揮して見せ、オチとして師匠にも同じことを試すまでの流れがよくできた回が好きだ。年末進行の回では、編集者の作戦がたいてい主人公に裏目に出るのがおかしい。
- ライバル作家の連載を代わりに描く回がたまらない。よその作品の主人公を勝手に死なせてしまうむちゃくちゃさには、元の作品を読み終えてから読み返すとあらためて大笑いしてしまう。
- 実在の漫画家や作品をもじったキャラが次々出てきて、元ネタがなんとなく分かるのが楽しいです。巻末のおまけ漫画ではサイン会をバトル形式で実際にやった話が描かれていて、そこにも驚きました。
- 前作から舞台が00年代に移り、周りの状況もちゃんと新しくなっている。どこまでが作り話なのか分からないエピソードはどれも面白いけど、いちばん笑えるのはやっぱり友人の漫画家が出てくる回かな。
悪い感想・レビュー
- 勢いよく吼えていたのに、巻の最後の話でいきなりペースが落ちるのには戸惑いました。メリハリのないコマ割りと気の抜けた作画で、描きかけの原稿かと疑ったほどです。
- 前作の続きのつもりで読むと、実話っぽさが薄れて作り話の色が濃くなっているのが気になる。ラストもまた力技で胴体着陸させる感じで、この作者に穏やかな終わり方を求めるのは無理なのかもしれない。
- 巻を重ねるうちにネタの勢いが弱まってきた感じはあります。新人賞の回も、すでにデビューしたプロが正体を隠して応募したとして、はたして賞を取れるのかと首をかしげました。
- 1ページの情報量が多すぎて読みにくく、読み進めるとかなり疲れる。それでもこのマイナスを吹き飛ばすだけの面白さがあるから、今でもたまに読み返している。
- とにかく無駄なくらい暑苦しい作風なので、合わない人にはとことん合いません。全巻そろえても、手元に残したいと思えたのは代筆やサイン会、新人賞の選考会などを描いた数巻だけでした。
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