レビュー著者: 漫画よしあし
最終更新日:
おとなになっても の感想と評価(良いところ、悪いところ)
おとなになっても
著者: 志村貴子
連載: Kiss
評価: 7.8/10
あらすじ
小学校教師の綾乃は、行きつけのダイニングバーで店員の朱里に声をかけられる。初対面なのに話が弾み、その夜のうちにキスを交わして再会を約束した二人。ところが次に店へ来た綾乃の隣には、夫の渉がいた。朱里への恋心に気づいた綾乃は、夫に「気になる人がいる」と打ち明けてしまう。不妊治療は行き詰まり、義実家との同居も始まって、義母や義妹を巻き込んだもめごとが重なる。振り回されながらも惹かれる心を止められない朱里と、夫への罪悪感を抱えながら朱里に惹かれていく綾乃。誰かを傷つけた罪悪感や周囲の視線に葛藤しながら、二人は自分たちらしい生き方を選び取ろうともがく。きれいごとでは終わらない、大人の女性同士の恋!
読む前に確認したい相性
向いている人
- きれいごとで終わらない女性同士の大人の恋を、仕事や家族の事情も含めてじっくり味わいたい人
- セリフで説明しすぎず、表情や空気で気持ちの揺れを伝える心理描写にじっくり浸りたい人
- 嫌な役回りの人物もただの悪者で終わらせない群像劇として、家族の問題までじっくり見届けたい人
向いていない人
- 既婚者の心変わりや不倫から始まる恋に抵抗があり、主人公の身勝手さが気になってしまう人
- 甘くて純粋なガールズラブを、離婚や嫁姑のもめごとに足止めされずテンポよく楽しみたい人
- 罪悪感や重たい空気が長く続く話は苦手で、弾けるような幸せいっぱいの恋物語を読みたい人
良い感想・レビュー
- 社会人同士の百合で、始まりは夢みたいなのにあとから現実が追いかけてくる感じがたまらないんです。それぞれの心情や背負ってきたものが丁寧に描かれていて、映画やドラマを観ている気分になれます。
- おとなしそうな顔で意外と大胆な人と、遊び慣れて見えて踏み出せない人。このギャップが絶妙だ。気持ちの細かな揺れと突拍子もない行動のアンバランスさにしびれ、21世紀の向田邦子かと思わされた。
- あからさまに嫌な姑をただの悪者で終わらせず、安易に同情もしない描き方に感心します。影の薄い夫の側の責任まできちんと問うとは思っておらず、うれしい予想外でした。
- 不倫ものは苦手でも、怖いもの見たさで読んでよかった。好きになってしまった後悔とときめきが、かわいくも時にシリアスに描かれる。しんどい境遇でも健気で明るい朱里のおかげで、話が暗くなりすぎない。
- おとなの恋はずるい。仕事に結婚、子ども、世間の目まで大人の事情がべたべたまとわりつく恋なのに、36歳同士ならそりゃあるよねと思えるリアルさがある。二人の行く先を見届けたくなる。
悪い感想・レビュー
- 絵はきれいで女性の描き方もうまい。けれど読み進めるほど物語の軸がつかめず、ふらふらしているように見えてしまう。狭い世界の中だけで不倫や人間関係が完結していて、全員何をやっているんだと言いたくなった。
- 既婚なのに気持ちが移り、すぐ夫に打ち明けた綾乃が正直というより身勝手に見えてしまいます。教師としての対応はいいだけに、無責任で配慮に欠ける感じがどうしても好きになれません。
- 離婚するかしないかや嫁姑のもめごとがたっぷり描かれ、二人の恋がなかなか進まない。想い合っているならもう少し踏み込んでもいいのに、と気持ちが引いてしまう場面もあった。
- 一緒に暮らし始めても、二人は「誰かの不幸の上の幸せ」という罪悪感から抜けきれません。三方よしならぬ三方つらい状態で、弾けるような幸福感より重たい空気のほうが長く残るんですよね。
- 教え子たちの恋や義妹の不倫など、周りの人間関係まで泥沼になりそうな気配が続き、すべて回収されるのか不安になった。純粋なガールズラブだけを楽しみたい人には合わないかもしれない。
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