レビュー著者: 漫画よしあし
最終更新日:
味いちもんめ の感想と評価(良いところ、悪いところ)
味いちもんめ
連載: ビッグコミックスペリオール
評価: 7.8/10
あらすじ
調理師学校を首席で出た伊橋悟は、腕に自信たっぷりで新宿の料亭「藤村」の門をくぐる。ところが任されたのは洗い物やゴミ拾いばかりの下働き「追い回し」。不満をつのらせた末、三年先輩の谷沢と桂剥きで勝負して完敗し、伸びきった鼻をへし折られる。そこから伊橋は心を入れかえ、親方・熊野や厳しい坂巻、頼れるボンさんにもまれながら、包丁の腕だけでなく食材への感謝や客への気配りを覚えていく。焼方、煮方と板場を一段ずつ上がり、京都の名料亭や神楽坂の割烹へと腕をみがく場を広げる。人とぶつかり、人に助けられ、やがて病に倒れた親方を支えるため藤村へ戻るまでの長い道のりを追う。厨房の湯気の向こうに人の情がにじむ、板前修業の人情絵巻!
読む前に確認したい相性
向いている人
- 派手な料理対決よりも、下働きから育っていく板前の成長譚をじっくり追いかけたい人
- クセのある人物はいても根っからの悪人はいない、読むとほっとするやさしい人情話に浸りたい人
- 昭和の匂いが残る和食の板場を舞台に、懐かしさや時代の差もまるごと楽しみたい人
向いていない人
- 長く続く物語のなかで、初期からの登場人物があっさり退場するとがっかりしてしまう人
- 原作者の交代で薀蓄が前に出る作風の変化を受け入れにくく、初期の味わいだけを求める人
- 主人公が理不尽な雇い主のもとで我慢して働き続ける展開に、強いもどかしさを感じやすい人
良い感想・レビュー
- 話ごとのオチのつけ方がうまくなり、抑えのきいた描き方でじわりと染みるところがいかにも味いちらしいです。成金の客も出しゃばらせすぎず、紆余曲折をへて本格的な復活と見ていい出来でした。
- 板前を目指す若者が料理に向き合い、人づきあいに四苦八苦しながら育っていく話です。家で作れるレシピ漫画ではないものの、読むとほっとする懐かしさがあります。
- 料理対決はなく、働く人たちの人間模様や食の雑学が中心だ。昭和の匂いが色濃いので、上の世代は懐かしく、若い世代は時代の差を面白がりながら読める。主人公がどう育つのか、先が気になってしかたない。
- この料理がすごい、この料理人は天才だ、と見せつける作品ではないので、興奮や驚きは控えめです。そのぶん若い板前の成長譚と人間ドラマがしみて、心の栄養をもらった感じがして好きです。
- 雇われ板長として店を任される続編では、客や店員、困ったオーナーとの日々が描かれる。クセはあっても根っからの悪人がいないから、読み味はほんわかやさしい。後半には日本を旅して、各地の名産をめぐる話も入る。
悪い感想・レビュー
- AIや個人情報など今どきの話題が立て続けに出るうえ、研修生との世代差を描く似た設定の話が重なるのは少し食傷ぎみ。師匠のたとえ話への主人公の解釈も、腑に落ちないままだった。
- 第一作から登場する初期の重要キャラをひと言で退場させる扱いには、なんだかなあと思います。他人が作ったキャラを動かす苦労はわかるものの、あまりにリスペクトに欠けると感じました。
- 原作者が交代してからの話は、料理の薀蓄がメインの話になっている気がします。板前たちが織りなす人情ドラマとしての味わいが薄れたようにも感じ、気になる変化でした。
- 独立といっても実際は雇われ店長という肩すかしの設定。いいかげんなオーナーに振り回され続けるのを見ると、だまされたとわかった時点ですぐ辞めればいいのに、ともどかしくなる。
- あべ善太さんが亡くなったあとの続編は、別の作品だと割り切って読むほうがいいと思う。同じ板場と顔ぶれでも、初期と同じものを求めるとがっかりしかねないので、気持ちを切りかえてから手に取りたい。
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